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捜査二課の女刑事_4 ページ30

(…動きにくい…)


後ろ手で何重かに拘束されたガムテープ。
手首を動かしても、当然解けるものではない。


『…っ』

頬あたりに鈍い痛みを感じ、
Aは小さく表情を歪めた。
男が振りかざすナイフが掠めたのだ。


先ほど、銃で撃たれた中年男性のように、
その頬から赤い血が流れ出した。


しかし、そんな痛みなど気にする様子はなく、
後ろ手に握りしめた拳銃をもぞもぞと動かすA。

目の前の男のナイフを避けながら、少しずつ移動していく。
人質と徐々に距離を空けるようにして。




既に安全レバーは引かれた状態。
自ら手にしたとはいえ、
危険な、状態であることには間違いない。


『…』


そして、カウンターに背を向ける形になり、
ぐいっと後ろ手に拘束された両手を体の横に向けると、


パンッ…!


乾いた音が鳴り響いた。









そして、カラン…と音が鳴ったと思うと――


『…っ…』


Aの頭上から再びナイフを振り下ろそうとしていたリーダーの男の、
その長身の身体がふわりと宙に舞い、


「…くっ…!」


思い切り床に叩きつけられた。

そのまま、
倒れた男の鳩尾に思い切り肘打ちを食らわせるA。


「…う…っ…」


どうやら気を失ったようだ。



『…はぁ、はぁ…』


さらに、
呼吸を乱すAの後ろから
先ほどまでふらついていた大柄の男が殴りかかろうとしてくるも、
くるりと体勢を変え、盛大に投げ飛ばす。


床に強く頭を打ち付けられた男は、
鈍いうめき声とともに、意識を失った。



男の腕を掴んだままのAの手首には破れたガムテープ。
そして、その右手首からはだらだらと血が流れ、
足元には、先ほどまでAが握っていたはずの銃が転がっていた。


後ろ手に、手首に巻かれたガムテープの中央を狙って、
Aが引き金を引いたのだ。


自身の身体に当たらないように、
両腕を精一杯、身体の横へ逸らして。


とはいえ、後ろ手に、後ろ向きに、
それに、ナイフを交わしながら、そう器用なことができるはずもない。


器用なことが苦手なことは、A自身が一番良く分かっている。


それでも、そんなことを言っている場合ではなく、
出来る限り狙いを定めて放たれた弾丸は、ガムテープとともに、Aの右手首を掠めた。
いや、その傷は、”掠めた”と言うほど浅いものでもなかった。

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設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月17日 12時

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