SNOW DROP II (2)【名探偵コナン/警察学校組】 (ページ22)

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長い1日_5 ページ22

「…だから、とっとと逮捕しろって言ってんだよ。
じゃねぇと、ここ、吹っ飛ばすぞ？」

そして30分後。
店内のカウンターやその横の壁、そして、入口付近に黒い箱を設置すると、
支店長の市川に指示をし、
店内の電話から、犯人の1人、細身の男が連絡をとったのは、警視庁。

(…逮捕って…まさか…)

「もう調べてんだろ？櫻木と、東堂のこと。」

受話器を片手に、吐き捨てるように話す男。

(…櫻木と、東堂。
…そういうことか)

櫻木とは、東都銀行本店の役員。
そして、営業負債の二重売り、東都銀行との癒着に関与していると思われる企業は、
東堂グループの企業の1つだった。

二課の調査により、企業との癒着疑惑が明らかになりつつあり、
また、銀行側として大きく関与していたのが、
本店役員の”櫻木”である可能性も掴め始めていた。

しかし、明確な証拠は得られておらず、
さらに東堂グループの社長である東堂本人が関わっている証拠はまだ得られていない状況だった。

(…銀行か、東堂グループに、
あるいは、櫻木もしくは東堂本人への恨みということ…？
告発文を送った本人の可能性も…)

「今日の20時までに証拠を公表して、2人を逮捕しろ。
どれだけの不正が行われ、どれだけの人間が不利益を被ったかってことをな。
データはもう持ってんだろ？」

警視庁の人物と会話をしていた男は、
ガチャンと乱暴に受話器を置くと、再び拳銃を手に拘束したAたちを睨みつけた。

Aは、
周囲の、怯えた様子の他の人質に目を向け、
険しい表情を浮かべていた。

(…東堂グループへの恨みなら、
東都銀行の米花支店を狙う理由はないはず。

それに、データはもう持ってるんだろ、って言ったわよね。
やっぱり、内部告発をした人間…。
銀行内部の人間…、あるいはその協力者。
米花支店と取引があった人間…。

いずれにせよ、癒着によって何らかの不利な、
不条理な、状況に追い込まれたということ…)

“吹っ飛ばすぞ。”

犯人のその言葉から、店内に仕掛けられたいくつかの黒い箱は、
やはり小型爆弾だということを認識するA。

後ろ手に縛られたガムテープは、
先ほどから小刻みにヒールの踵に擦り付けられ、少し亀裂が入り始めていた。

しかし、
爆弾が設置された壁に視線を向け、
思案するような表情を浮かべると、その手の動きをピタリと止めた。