差し出された傘_5 ページ17
半年ほど前。
松田は降谷の姿を見かけていた。
それは、偶然だった。
通報を受けて駆けつけた現場で、
不審物の確認を終え警視庁のエントランスに戻ってきた松田。
その目に映ったのは、
エレベーターから降りてきた見慣れた人物だった。
とはいえ、立場上、
そして、”存在しない組織であれ”という秘密裏の組織、ZERO に所属する彼が、
そうそう警視庁に足を運べる立場でもないはず。
何か、重要な案件で公安部にでも用があったのかと一瞥するも、
降谷は松田に視線を送ることなく、
ふと、気づいたように別の方向を見つめていた。
(…ん?)
そして、同じ方向へ松田が視線を向けると、
少し距離があるが、
そこには、険しい顔つきをしたスーツ姿の男と、手帳を手に会話を交わすAがいた。
(…春宮…。二課の捜査か…?)
そうして、松田が視線を戻すと、
既に足早に裏口の方へと向かう、降谷の背中が見えただけだった。
寮の自室へ戻った松田は、
一瞬ではあったが、
あの時、目を細めて、どこか苦しそうな悔しげな表情を浮かべていた降谷を思い出していた。
松 「…何なんだよ。アイツら」
そして、大きなため息を零したのだった。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月17日 12時