SNOW DROP II (2)【名探偵コナン/警察学校組】 (ページ15)

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差し出された傘_3 ページ15

松「悪ぃ。…助かる。」

『うん。たまたま見かけただけだから。

…はい。』

もう一度、というように傘をぐいっと差し出してくるAに、
松田はやっぱり良く分からないというように少し戸惑いながらも、
その傘の柄を受け取った。

そして、そのままスタスタと歩いていこうとするA。
未だ強く雨の降り続く路地へと。

松「お、おい。ちょっと待て――」

『まだ捜査残ってるの。早く行きましょう？』

松「…あ、あぁ。でも傘…」

『だから、松田が差してくれない？私じゃ届かないから』

Aが持ってきた傘は1つ。
アイボリー色のシンプルな傘。

少し大きめではあるが、
しかし160 cmに満たないAが差したところで、松田とともにその傘に入るのは到底無理だ。

当たり前のように、
そうして貰うために差し出したのだと言わんばかりの自然な表情で、
松田の顔を見上げる A。

松「…だから、分かりにくいって言ってんだろうが…

って、ちょ、ちょっと待て…！！」

小声で呟いた松田の言葉は、
雨の音にかき消されたのか、
あるいはAの耳には入らないのか、
やはりそのまま路地へと歩き出そうとAを、松田は慌てて追いかけた。

その手の傘を開き、
Aに差し出すようにして。