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差し出された傘 ページ13

「はぁ…。この天気の中ですか…」

『…あのねぇ。雨だろうが嵐だろうが、犯人は待ってくれないのよ』


それから3ヶ月後。

Aはハンドルを握りながら、助手席でボヤく男を叱咤していた。

梅雨の真っ只中だ。
少し前から急に降り始めた雨は、次第に強さを増していた。


叱咤している男は、一ノ瀬 和真 (いちのせ かずま)。
今年4月付けで、捜査二課に配属になった新米刑事だ。
Aは指導係として、こうしてともに捜査をしているのである。


『とりあえず、東堂の秘書から話は聞けたけど、
あとは――』

「3年前の金の動きをもう一度、ですね?」

『分かってるじゃない』

赤信号にブレーキを踏みながら、
ニヤッと助手席に笑いかけるA。
なかなか飲み込みの早い有能な部下だ。


『…そういえば、先週事情聴取をしたあの社員、
確か、この辺りに住んでるって言ってたわよね』

「…ずいぶん儲けてるんでしょうね」

雨の降りしきる中、
タワーマンションが立ち並ぶ周辺に目を向ける2人。

そして、信号が青に変わると、
そのまま警視庁へと車を走らせた。






数分後。

『…ん?』

警視庁付近に戻ってきたAたち。
さすがにあからさまに脇見運転をする訳にはいかないが、
ちらりと窓の外に視線を向け、小さく目を見開くA。

「春宮さん、どうかしました?」

『…ううん。ちょっと、ね』

「…雨、酷くなってきましたね」

『…そうね』




警視庁に到着し、駐車場へ車を止めるAは、
助手席の一ノ瀬に口を開いた。

『ごめん、一ノ瀬。先に戻っててくれる?』

「え?」

『私もすぐ戻るから』


不思議そうな顔をして、
傘を片手に一ノ瀬が助手席から降りると、
Aは再び車を走らせた。

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設定タグ:名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月17日 12時

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