長い1日_8 ページ25
30分後――。
“犯人に告ぐ!
警視庁捜査二課の中森だ!少し話がしたい…!”
シャッターの外から聞こえてきたくぐもった声。
拡声器越しの声。
Aの上司である中森警部の声だった。
(…中森警部。
一課の特殊犯係、機動隊も来ているのかしら…)
シャッターが閉じているため、外の状況が見えない。
そして、その声を聞くも犯人たちは動こうとはせず、
先ほど警視庁とやりとりをしていたリーダーの男が、再び受話器を握った。
「…交渉をするつもりはない。
外にいる連中に伝えろ。何も話す気はねぇ。
…んなことしてる暇があったら、とっとと公表の準備でもしろって言ってんだろ。
店に入って来ようなんて、変な真似するんじゃねぇぞ。
…店ごと吹っ飛ばすからな。」
吐き捨てるように一方的に話し受話器を置くリーダーの男。
(…かなりの覚悟ってこと…ね。
お金目当てじゃない。
それに、櫻木や東堂に本人に恨みがあるなら、本人やその家族を狙うはず。
犯人はただ、櫻木と東堂の関係を、
東都銀行と東堂グループの癒着を明らかにしたいだけ。
“どれだけの不正が行われて、どれだけの人間が不利益を被ったか”、そう言ってた。
事実を公表して、社会的に消し去りたいということ…?
とにかく交渉なんて、無意味みたいね…。
どうすれば…)
「…う、うわぁぁ…ん」
浅い息を吐き思案するAの少し横で、
拘束されていた女性に抱きかかえられた子どもが泣き始めた。
「…おい。静かにさせろ!」
カウンター越しに、
リーダーの男が銃を向けると、
椅子に座っていた犯人の女が、銃を片手に近づいてきた。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月17日 12時