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小さなメモ ページ5

2日後。
クリスマスを2週間後に控え、
杯戸町では至る所でイルミネーションが施されていた。

Café Rainでも、店内にはクリスマスツリーと、カウンターや壁には星を形どったランプが飾られ、
クリスマスムードが漂っている。

2日前にAがお詫びとして焼いたスコーンは、
昨日、やはり閉店時間後に現れた松田に無事に渡すことが出来た。
あの日はどうやら、 “捜査のため、東都を離れていた”ようで、当日中に渡すことは叶わなかったのだが。

いつぞや、
“捜査で出張とかないのかしら”、と考えていたAは、
それに、侑斗がこの店にきた数日前のことを思い出し、
何となく気まずく、気恥ずかしく感じ、
戸惑いながら小さく”サンキュ”と呟いた松田に、はにかむように微笑んだのだった。



『お待たせしました。』

Aがカップを運んだのは、入口近くのテーブル席。
そこに座る客は、もう何度も足を運んでくれている男。
いつも決まって入口側のテーブル席に座り、
ブレンドコーヒーだけを飲んで帰っていく。

話したことはないのだが、
帰り際のレジで、じわっと口角を上げて笑いかけてくる男だ。
Aは、申し訳ないながらもその笑みが苦手だった。
もう15時を過ぎており、由紀が帰った後では自分が対応するしか無い訳で。

『ありがとうございました。また、お越しくださいね。』

コーヒーを飲み終えた男から代金を受け取り、
営業スマイルで礼を述べるAに、
男はすっと小さなメモを差し出した。

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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月14日 21時

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