検索窓
今日:64 hit、昨日:65 hit、合計:382,481 hit

無言電話_3 ページ34

「…何があった」

『…何も、ない…ので。大丈夫、ですから』

「じゃあ…、何でそんな泣きそうな怯えた顔してんだよ。
…また、この前付けてきた男が来たんじゃねぇだろうな」

『…ち、違います』

「…じゃあ何があったんだよ」


松田は店の入口付近に立ち止まったまま、
Aに近づこうとはしない。

キッチンで涙を堪えるようにして唇を擦り続けているAに、
ただ、心配そうな、苛立ったような、複雑な表情を向けている。

こじんまりとした店だ。
視力の良い松田にとっては、
入口からでも、Aの表情を知ることはたやすい。


『…大丈夫、です…から、帰って、ください。
ごめんな、さい… 間違って…電話してしまって』

「…」

すっと、松田に背を向けるA。
それでも、やはり松田はその場を動こうとしなかった。

Aに近づくこともせず、
侑斗のようにその距離を無理やり縮めるようなことなどせず、
ただ、その場に立っていた。

無言電話_4→←無言電話_2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (164 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
259人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:white12 | 作成日時:2019年11月14日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。