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言い訳_2 ページ16

Aは、そのままその場を去ろうとしたのだが、
刑事である松田を目の前にしたからか。
“付けられていた”という今の状況を思い出したように、
歩き出そうとした足をピタリと止め、俯いて不安げに瞬きを繰り返した。

ここを出たら、またあの男がいるかもしれないという考えが、
脳裏をよぎった。


「…やっぱり何か、あったのか?」

『…いえ。何でも、ないです。』

しかし、
視線を合わせないAの表情は、
どう見ても”何でもない”ようには見えず、松田が口を開いた。

「…付けられてんじゃねぇだろうな」

『え…』

「チッ…アンタなぁ…」

ふっと顔を上げたAと目が合うと、
舌打ちとともに松田は眉をひそめた。
Aの反応は、分かりやすく、YESを意味していた。

そして、
到着したエレベーターが開くもその場を動かずAを見据える松田。
夜だからか、サングラスをかけていない彼の整った表情が、分かりやすく歪められた。


『あ…、違います。すみません。もう、帰りますので…』

「ちょ…っ…おい…!」

笑顔を作り、その場を去ろうと歩き出したAだったが――


「…待てって。」

『…っ…』

松田に腕を掴まれて、ものの数歩で立ち止まった。


「もしかして、店に来てた客の男か?」

『え…』

「客に言い寄られてたんだろ?」

何故知ってるのか。
不思議そうな Aだったが、
言い寄られていた、という身に覚えのない松田の言葉にキョトンとした顔をした。

「…悪りぃ。違ったか?そう聞いたんだが…」

『…聞いたって…』

「あー、なんつーか…。
とにかく、そんな状況じゃ危ねぇ――」

『えっと…、すみません。
大丈夫、なので…。 ありがとうございます。』

「お、おい…!」

変なことを言ったかと言い淀む松田に、
ぺこりとお辞儀をすると、Aは逃げるようにしてアパートのエントランスを出ていった。

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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月14日 21時

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