危険な夜道_3 ページ13
『ふぅ…寒い…』
掃除や清算など、閉店作業を終え店を出たAは、
吐き出す息が白いことで一層寒さを感じ、ぶるっと身を震わせた。
そして、外から店に施錠をすると――
「…お、お疲れ様、です。」
『…え…?』
後ろから誰かに声をかけられ、くるりと振り向いた。
『…あ、貴方…』
そこに立っていたのは、あの男。
Aに連絡先を渡してきた男だった。
店に来た時には、″コーヒーを″という注文しか口を開かなかった男の、初めて聞くセリフに、
店の外で待ち構えていたような状況に、
Aは警戒しながら、静かに口を開いた。
『…何か、ご用でしょうか。』
「…えっと…、連絡、ありがとう…ございました。」
『ご用があれば、お店の方へご連絡ください。と、お伝えしたと思いますが…』
「あの、…お、送っていき…ます」
『は…?』
オドオドしている様子ではあるが、ずいっと距離を詰めて来る男に、
Aは険しい表情を浮かべた。
「夜は、暗いので…。その、香坂さんは綺麗なので…、危ない…から」
『あの…、すみません。大丈夫ですから。』
距離を詰めたものの、視線を合わせず言葉を零す男に、
しかしながら、あの、ジワリとした笑みを浮かべ続けている男に、
Aは警戒心全開で断りのセリフを述べると、
やんわりと男から離れ、足早にその場を去った。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月14日 21時