クリスマス ページ27
翌日。
今日は12/25。クリスマス当日だ。
Café Rainでは、クリスマス仕様のスコーンが食べられるのは今日までということで、
いつも以上に賑わっていた。
「カフェオレと、この…スコーン下さい」
「私は、ブレンドコーヒーと――」
「はい、少々お待ちください!
――Aさん、オーダーいいですか?えっと…」
『了解。あ、由紀さん、あとでこっちの洗い物お願いできる?
それから――』
15時の時点で、
今朝焼いたスコーンは、もう残り少なくなっていた。
閉店時間まであと3時間はある。
(追加で焼く…にしても、生地つくってる時間はない…なぁ。
まぁ、何とか大丈夫かな。)
少し困った状況のようだが、
思った以上の売れ行きにAは顔を綻ばせた。
「盛況だね。あんまり居座ると迷惑になっちゃいそうだな」
『ありがとうございます。いえ…。大丈夫ですよ。
ごゆっくりどうぞ』
コーヒーカップを運んできたAにニッコリ笑いかけてくる客は、
萩原だ。
やはり入口側のテーブル席に座っている。
あの男は、いない。
気のせいか、じっと見つめてくる萩原に、
Aは少し困ったような営業スマイルで応えた。
(…松田さんと仲良さそうだったし、
もしかして、この間のこと聞いてる…のかな)
頭をよぎるのは、2日前男に付けられたことと、
そして――、
昨夜の松田との会話だ。
男とはもう関わり合いたくないと、
彼を拒絶するような態度を取ったA。
“俺が嫌なら、萩原なら――”
松田はそう言っていた。
代わりに来た、とでも言うのだろうか。
(…考え過ぎよね。
自意識過剰ってやつ…だわ)
カウンター内に戻ったAは、
冷たい水で洗い物を始めた。
思考を打ち消すように。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月14日 21時