アテになんねぇ”大丈夫” _3 ページ25
「頼りたく…、ないんです。男の人...に。』
「は?」
『…自分で何とか、したいんです…。
もう…男の人と…、あまり関わり合いたく…、ないんです。
ごめんなさい…』
伏せ目がちに眉をひそめるA。
侑斗と付き合ったのは、弱さからじゃない。
同じ夢を追いかけて、互いに高め合えるような、
そんな関係だったと思っている。
でも、変わり始めた彼に、
浮気が分かった後、別れ話を持ちかけてきた彼に、
もう少し向き合うことが出来たんじゃないか。
店をオープンしてしばらくしてから付き合い始めた一真も、
既婚者だと気づけなかったのは、自分の弱さがあったからじゃないか。
店を始めて、忙しさや不安が募り、大変だった時期。
度々店を訪れていた一真に、
必ず"美味しかったよ"と笑顔を残して去っていく彼に惹かれたのは、
言い寄ってきたのは相手からだとしても、既婚者だと気づかず半年も付き合ってしまったのは、弱さからだったかもしれない。
Aは、
もう懲りているはずなのに、
またも湧き上がりそうになる感情を、
油断すれば寄りかかりそうになる弱さを戒めるように、きゅっと奥歯を噛みしめた。
そして松田は、
Aのその言葉に、
絞り出すような声に、
理解できないような苦しげな表情を浮かべ、一度ため息をつくと、
”…分かった”、と短く承諾の言葉を吐いた。
よく考えればそれはそうだろう。
3年付き合った男に裏切られ、
次に付き合った男は、実は結婚していたなどという、
散々な目にあったのだ。
挙句、昨夜はストーカー行為にもあった訳で。
佐藤に連絡するか、とも考えたが、
桜田の事件の後、謝罪に行ったと聞いているが、
それでも積極的に関わり合いたくはないだろう。
それにあの時、
“あまり大ごとにしたくない”、“ネガティブな思い出を重ねたくない”、
そう話していたAに、
それ以上無理強いすることは出来なかった。
「…でも、何かあったら、”警察に”連絡しろよ。」
松田は困った表情でAにそう言い残すと、
少しだけ口角を上げ、その場を去っていった。
(“警察に”…か。)
昨夜は、”俺に連絡しろ”と言わんばかりに電話番号を渡してきた松田。
しかし、拒絶したのは自分なのだ。
松田に伝えた言葉に嘘は無かった。
もう、男の人と関わり合いたくないのだ。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月14日 21時