Rain【名探偵コナン】 (ページ36)

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不本意な再会ページ36

3日後の18時。

Café Rainにて、
ふとAが視線を向けるのは、入口のドアだ。

昨日から12月ということで、
入口には小さなクリスマスツリーが飾られている。

営業時間内に来てくださいね、と言ったものの、
あれからも松田が店にくるのは、やはりこの時間帯だった。
いや、むしろ、来店時間は少し遅くなっており、
“あえて”閉店後に来ている気すらしてくる。
Aは、”気にしないで”と言ったものの、やはりまだ負い目を感じているのだろうか。

(…捜査で出張とか、ないのかしら)

毎日足を運んでくれる松田に慣れてきたのか、
暇なのかとでも言いたげに、何やらまたも失礼なことを考えながら、
Aはドアの方へと向かった。

来ない日もあるだろう。
今日はもう鍵を閉めておこう。

毎日そう思うのだが、
何となく鍵を閉めることができず、
そのまま片付けをしているうちに、だいたい18時を数分回った頃に松田は現れる。

連絡先など知るはずもない。
店内で特に会話をすることもない。

店に現れて、コーヒーを飲み、
10分程度で帰っていく男。

Aにとっては、ただ、それだけだ。

しかし、毎日それが続けば、今日も来るだろうとやはり期待するのは自然なことで。
彼なりの誠意というか、気遣いというか、律儀に足を運んでくれる松田に、
少なからず情が湧くのも自然なことだった。
客足がすっかり戻った今となっては、申し訳ない気持ちもあったのだが。

チリン…

今日もまた、鍵に手をかけようとして、
考え事をするように、松田を待つかのように、床を見つめながらしばし止まっていたのだが、
その正面で、ドアが開いた。

『…あ、松田さ――

…え…』

目の前に立っていたのは、
脳裏に浮かべていた男とは違う男だった。

Aは、後ずさりをするようにしてゆっくり店に入ると、
浅くなる呼吸を整えるようにして、口を開いた。