時間外の常連客_3 ページ30
そうして、2時間ほどが過ぎた。
コーヒーを飲みにくる客、
SNSに上がっていたと話しながらスコーンを注文してくれる客、など、
ちらほらではあるが戻りつつある客に、
Aは営業スマイルだけでなく本心からの笑顔で対応していた。
『ありがとうございました。またいらしてくださいね。』
男性客を見送りちらっと時計を見ると、もうすぐ17時半。
Aは客のいなくなった店内で片付けを始めた。
この店の閉店時間は18時。
この時間から店に来る客は少ない。
Aは、テーブル席やキッチンの片付け、掃除を始め、
気づけばもう18時になっていた。
『…今日もお疲れ様でした。』
Aの日課。
誰かに見られるとあまり嬉しいものではないが、
1日使ったサイフォンをねぎらう言葉をかけながら、
丁寧にクロスで掃除を始めるAは、
ちらっと入口のドアの方へ視線を向けた。
しかし、ピタリとその手を止めると、
エプロンを外しながら、入口ドアの方へと向かい、
ドアの鍵に手をかけた。
そして――
『…あ。』
という小さな言葉とともにドアを開け、店内へ迎え入れたのは、
「…悪ぃ。閉めるとこだったか。」
松田だった。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月12日 20時