疑い_3 ページ12
『すみません。お待たせしました。』
「いえ。こちらこそ、お仕事中にすみません。
早速ですが、昨夜の殺人未遂事件について――」
佐藤と松田は、店先の少し外れた場所に立っていた。
人目を配慮したのだろうか。
そして、昨夜松田に話したとは言え、
もう少し聞きたいことがあると、佐藤は話し始めた。
「目撃情報によると、桜田を刺したのは女性だそうです。
その背格好や髪型などの特徴が、貴方に良く似ていまして。」
『…目撃情報、...ですか。』
「えぇ。刺された現場を目撃していた人物がいたんです。
それと、付近の防犯カメラに、逃げるように走っていく女性が映っていたんですが、
やはり貴方に似ているように思うんですよね。
昨夜、松田刑事に話してくれたようですが、昨夜の19時ごろ、香坂さんはこの店にいたということですよね?」
『…証明することが出来ないともお伝えしたはずです。店には一人でいましたし、
防犯カメラは…この付近だと、あのカメラだけです。多分…、分からないと思います。』
そうしてAが指を指したのは、向かいのビル入口付近に設置された防犯カメラ。
その角度から、Café Rainの一部しか映らないと考えられるものだ。
「アンタの言う通り、映像で確認できたのは店の灯りがついていることだけだ。
あのカメラじゃ、この店の入口は映らねぇ。アンタが中にいたのか、何時に店を出たのかまでは分からねぇな。」
『…そうでしょうね。』
店から少し外れた場所とは言え、人通りは少ない訳ではない。
チラチラと向けられる通行人の視線に、昨夜のように少し呼吸が浅くなる。
中には、客として何度か店に来てくれたような、何となく見知った人もいるような気がした。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月12日 20時