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閑散とした午後_2 ページ15
コポコポとコーヒーを淹れる音が店に響き、香ばしい香りが漂い始める。
『お待たせしました。』
「うん。ありがとう。」
『ごゆっくりどうぞ』
コトリと、テーブルにコーヒーカップを置くと、
男はさらりと色気のある笑みを浮かべ、礼を述べた。
淹れたばかりのコーヒーは、湯気とともに良い香りが漂っている。
色男のような笑みは、最初こそ不覚にもドキリとしたものの、
何度か来てくれているうちに、何だか慣れてきたなと思うA。
“ごゆっくりどうぞ”などという定型文のセリフも、
他に誰も客のいない空間では何だかむずがゆく感じてしまう。
Aは、普段の営業スマイルに自嘲めいた笑みを交え、男に笑いかけると、
キッチンへ戻って行った。
15分ほどして、
「ここのコーヒー、好きなんだよね。
美味しかったよ。ごちそうさま。」
と、またも色気のある笑みをAに向けると、
代金を支払い、男は去って行った。
こういうお礼は、
社交辞令かもしれないけれど、それでもやっぱり嬉しいもので。
Aは、先ほどの自嘲めいたものとは違う嬉しそうな笑顔を浮かべたのだった。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年11月12日 20時