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約束 ページ5

そして、翌月。


二課は、大手電機メーカーS社の専務の家宅捜索のため、
慌ただしく動いていた。

Aが公安部に乗り込んだ3日後、
警視庁に送られた1通のメール。


S社の専務がこの2年間、会社の金を横領している、
という内容の、所謂告発文だった。


男の取り調べを中断させられた悔しさを晴らすことが出来ずとも、
当然、二課がやるべき捜査は山積みであり、
追っている詐欺グループとて1つであるはずもなく、
Aが別の案件の捜査を進めていた矢先のことだった。

告発文の内容を検証すべく、
専務周辺の人物からの聞き込みや、会社の実態、金の流れ等を綿密に調べた結果、
横領の証拠と思われる帳簿データとネットバンクの口座情報を入手した二課は、
家宅捜索へと踏み切ったのだ。









その翌週の非番の日。
Aは久しぶりに、A町の実家とも言える河北のマンションを訪れていた。


「お、A。久しぶりだな」

『あ、お父さん。お帰り』

「肉じゃが…と、揚げナスか?美味そうだな」

キッチンで作業中のAの後ろから、
ひょいっと顔を出し、手元を覗く河北。

『うん。あんまり凝ったもの作れないし…。
それにしても帰ってくるの、結構遅いのね。忙しいんでしょ』

「まぁ、仕事があるのは有難いことだからな。
それに、社員も増えてきたしな」

河北がKECを立ち上げたのは、5年前。
Aが大学2年の頃だ。
Aを引き取ってからもしばらく施設で働いていたのだが、
施設が閉鎖することになり、起業することにしたのだ。

KECが軌道に乗り始めたのは1年ほどしてから。
しばらくは社員は3名ほどの本当に小さな会社だったが、
今は、新たに社員を雇う余裕も出来る状態になっていた。


ネクタイを外しながら、
22時近くの、娘との夕食に頬を緩ませる河北。

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設定タグ:名探偵コナン , 松田陣平 , 萩原研二   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - 夢蜂さん» そう言って頂けて本当に嬉しいです。本作は、どうしてもスピンオフとして過去を描きたくて執筆した作品でした。スピンオフなので既にその先が分かっているが故の切なさもありつつ、若き頃の夢主を楽しく描いておりました。嬉しいコメント、ありがとうございました! (2020年2月20日 17時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
夢蜂(プロフ) - 強くも弱い主人公ちゃんに、つい涙が出ました。面白かったです! (2020年2月19日 21時) (レス) id: 269f71c012 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2019年9月10日 14時

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