被害者_3 ページ24
( …自ら落ちたように見えた…って…、まさか――)
中森から聞いた話では、
詳しいことは分からないが一課からの話では、
目撃証言からその可能性もあるとのことだった。
(詐欺グループの奴らだけでも、もっと早く捕まえていればよかった…?
…もっと確保が早ければ、少しでも返金が出来たかもしれない…
他の被害を見据える前に、そっちを優先すべきだった…?
ううん…、でも…)
事情を聞くため、石川の家を訪れた際、
最初は怒りを露わにしていたものの、
徐々に自嘲気味な、諦めたような表情になっていった彼のことを思い出す。
退職し、妻とも別居。
詐欺に遭ったという事実に、
絶望的に、あるいは自暴自棄になったのだろうか。
赤信号で停車する車の中で、ハンドルを握り絞めながら、
Aは浅く息を吐き出した。
そして米花中央病院の周囲まで車を走らせ、ふと、周囲を見ると、
ずいぶんと騒ついている様子に、何かあったのかと眉をひそめる。
野次馬のような人々。
携帯を手に、写真を撮っている人々。
何やら会話をしている人々。
病院が見える位置まで来ると、
交通規制が敷かれておりそれ以上前には進めない現状に、
詳細は分からないまま、
Aは仕方なく路肩に車を止め、病院の方向へと走り出した。
(…何?)
そして、視線の先に何台ものパトカーと警官、そして、機動隊員の姿が目に入る。
その中には、見知った人物。
捜査一課の目暮警部、そして佐藤刑事の姿が見えた。
(…捜査一課…、それと、機動隊?)
石川が転落した、という情報は一課からだったと中森は話していた。
しかし、彼が入院している病院が今大騒ぎになっていることは、おそらく別問題だろう。
訝しげな表情で、ちらりと警察手帳を見せ、
警官たちの中へ入っていくA。
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white12(プロフ) - 夢蜂さん» そう言って頂けて本当に嬉しいです。本作は、どうしてもスピンオフとして過去を描きたくて執筆した作品でした。スピンオフなので既にその先が分かっているが故の切なさもありつつ、若き頃の夢主を楽しく描いておりました。嬉しいコメント、ありがとうございました! (2020年2月20日 17時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
夢蜂(プロフ) - 強くも弱い主人公ちゃんに、つい涙が出ました。面白かったです! (2020年2月19日 21時) (レス) id: 269f71c012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2019年9月10日 14時