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気まずい遭遇 ページ13

数日後の6月21日。

Attraente (アトラエンテ)主催の美容セミナーに参加し、
警視庁に戻ってきたAは、
思案するような表情で車を降りると、エントランスに足を進めていた。


「――はずだ!
…から、――ていないのか?――言っているだろう!?」



(…あれ…?)


視線の先。
エントランスの少し向こう側。

はっきりは聞き取れないが、誰かを叱責するような男の声が聞こえ、
ふと、そちらに顔を向けるA。


その声を投げかけている相手は、
見覚えのある人物だった。


(…松田さん?)

距離があるため気づかれていないようだが、
どちらも防護服を手に持った状態。

(爆発物処理班の上司…かな…)
何か事件の帰りか…、あるいは訓練だったのだろうか。

盗み聞くつもりなど毛頭ないのだが、
エントランスに入るため、自ずと近づくようにそっと足を進めるA。


「――とにかく、その異動願いは承認出来ない。
度々そうやって上に突っかかっていたら、俺も庇いきれんぞ」


松田を叱責するような言葉をかけていた男は、
ふいっとそのまま警視庁の裏口の方へと向かっていった。


Aもそのまま気づかれないようにエントランスに入ろうとしたのだが、


『…あ』


目が合ってしまった。
先ほどまで少し俯くように苦い顔をしていた松田と。


『…お、お疲れ様です』

「…よぉ」

『…』

偶然とはいえ、
聞くつもりはなかったとはいえ、どうにも気まずい。
早く二課に戻って状況を整理したい気持ちが強いのだが、
かといって、
このまますっと立ち去るのも…と、困った表情を浮かべるA。

しかし、
特に何も言わずそのまま通り過ぎて行こうとした松田に、
とっさに口を開いた。

『あ、あの…異動って…』

「…」

サングラスをかけている松田の表情は良く読めない。
だが、
その眉をひそめている様子から睨まれているように感じ、
Aは、しまった…と、小さく顔を歪めた。

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設定タグ:名探偵コナン , 松田陣平 , 萩原研二   
作品ジャンル:アニメ
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white12(プロフ) - 夢蜂さん» そう言って頂けて本当に嬉しいです。本作は、どうしてもスピンオフとして過去を描きたくて執筆した作品でした。スピンオフなので既にその先が分かっているが故の切なさもありつつ、若き頃の夢主を楽しく描いておりました。嬉しいコメント、ありがとうございました! (2020年2月20日 17時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
夢蜂(プロフ) - 強くも弱い主人公ちゃんに、つい涙が出ました。面白かったです! (2020年2月19日 21時) (レス) id: 269f71c012 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:white12 | 作成日時:2019年9月10日 14時

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