刑事の勘_2 ページ12
保科が画面をスクロールしていくと、
開催スケジュール欄には、”6月10日”、”6月21日”、”7月8日”の表示。
「1ヶ月に2-3回の頻度で開催されているようだな。
今月は…今日開催なのか。それと…再来週。
で?気になる点というのは?」
『はい。先ほど会場に行ってきたら――』
「…は?」
『参加登録期限は過ぎているのでセミナー自体には入れませんでしたが、
高級化粧品ということもあって、参加者は40-50代の女性が多く、
…20代の”息子”がいる女性も多いようでした。』
「…刑事として捜査したんじゃないだろうな。」
『いえ。』
「適当なことでも言って聞き出したってことか」
もし詐欺グループとの何らかの関与があるのであれば、
警察に勘ぐられていると気づかれるのはマズイ。
Aとてその位は承知の上で色々と探っている訳だが、
その勝手な行動に苦い顔を向ける保科。
『それと、このページの参加登録フォームと、
セミナー後のアンケート紙に、
任意ではありますが家族構成を記入する欄があるようで…』
「…息子。
…家族構成、な。
まぁ、セミナーならそういう情報を収集することもあるだろうが…」
『先週、未遂でしたが似たような成りすまし電話を受けた女性宅にも、
これから確認に行ってみます』
「…それは分かったが…、昨日の報告書、不備が――
…って、片桐!」
手元の書類の不備を指摘しようとした保科だったが、
その言葉が耳に入らないように、Aは厳しい顔を浮かべて足早にオフィスを出て行った。
刑事の勘というべきか、
抱いた違和感を追求するように。
デスク上の書類に保科が大きなため息を零したことなど、
知る由もなかった。
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white12(プロフ) - 夢蜂さん» そう言って頂けて本当に嬉しいです。本作は、どうしてもスピンオフとして過去を描きたくて執筆した作品でした。スピンオフなので既にその先が分かっているが故の切なさもありつつ、若き頃の夢主を楽しく描いておりました。嬉しいコメント、ありがとうございました! (2020年2月20日 17時) (レス) id: b6a71bc5a9 (このIDを非表示/違反報告)
夢蜂(プロフ) - 強くも弱い主人公ちゃんに、つい涙が出ました。面白かったです! (2020年2月19日 21時) (レス) id: 269f71c012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:white12 | 作成日時:2019年9月10日 14時