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写真の中の痕跡 ページ7

米花町にある製薬会社。
最初は、あくまで相談、という形で関わっていたパワハラ問題疑惑の案件だった。
しかし、訴訟に発展する可能性が出てきたと、困った様子で連絡を受け、
先週も足を運んだばかりだったのだが、正式に先方の弁護士からの連絡があったらしく、
葵は話を聞くために再び訪れていた。


クライアントは、
パワハラ問題の当人の、上司である佐伯部長だ。
まだ正式に訴訟に発展していないため、
出来るだけおおごとにしたくない、と上司の佐伯が対応している形だ。

社内で解決できるのが理想なのですが…と漏らしながら、
終始苦笑いのような愛想笑いを浮かべる佐伯は、
明らかに気の弱そうなタイプの人間だ。
機嫌を伺うような、葵自身を品定めするような、
なんとも言えない視線をチラチラと向けてくる佐伯を前に、
どうもやりにくいな、と葵は感じていた。

『被害にあったと訴えている方は、弁護士をたてて訴訟を起こそうとしている、のですよね』

「先日連絡をしたところ、そう考えているような話をしていまして…
それで、昨日弁護士さんからも電話がありまして。」

『電話…ですか。
…被害を受けた方は今どちらに?』

「彼女はここ2週間、休みをとって会社には来ていないんですよ」

パワハラを受けている、
そう佐伯に相談してから、しばらくは普通通り勤務していたが、
休ませてください、と電話で有給取得願いを出して、来なくなってしまったそうだ。

パワハラ行為をした、とされる相手に佐伯がやんわり話を聞いたが、
まだ状況が確実ではなく、様子を見ていたところだったそうだ。

『ハラスメントは当人の受け取り方次第ですから…
とりあえず、先方の弁護士はどの先生でしょうか。
当人同士、あるいは、佐伯さんではなく、私を通していただけると有難いのですが。』

「そうなんですが…
できれば、訴訟問題は避けたくて…」

あちらが弁護士を立ててきているなら、
弁護士同士でまずは話し合いをするべきだ。

葵はそう口にするが、
いまいち煮え切らない佐伯に、
相手の弁護士の名前だけを確認して、
「また連絡します」と会社を後にした。

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設定タグ:名探偵コナン , 松田陣平   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月5日 13時

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