犯人との対峙_4 ページ45
「大丈夫ですか!」
そこに、先ほど警察、と名乗った男″風見″と、見知らぬ警官が現れた。
葵のように音を聞きつけたのだろうか。
駆けつけた風見に取り押さえられた永澤は、
諦めたような表情でぐったりとしながらも、小さく笑みをたたえている。
もう1人の警官が、
女の子…、秋野の娘、と田村の拘束を解く。
「あ、あ…」
秋野の娘は恐怖でただ、涙を流して震えている。
田村は厳しい眼差しで、永澤を睨んでいる。
その足は、やはり刺されているようだ。
葵は震える女の子に近づき、
そっとその震える肩に手を置く。
怯える顔を前に、ぐっと、苦しそうな表情を浮かべた。
うっ…と、またも誰かが小さく呻く声に葵が振り向くと、
足首あたりを押さえながら、フラリと立ち上がろうとする松田の姿が目に入る。
しかし、立ち上がることは叶わず、
押さえた手は赤く染まっていた。
そして、黒いスーツのズボンには、黒ずんだシミ。
『え…』
さきほど、投げ飛ばした際にナイフが”刺さった”のか。
あるいは、
“かすめた”だけ、…か。
そんな、希望的観測が頭をよぎるが、
立ち上がれなさそうな様子を見ると、前者、なのだろう。
『ま、松田さん…』
と、近寄ろうとする葵の耳に、
永澤の小さな笑いが飛び込む。
「はっ…
どうせ、もうすぐだ。」
拘束されたまま、永澤は倉庫の奥の方へ顔を向けた。
「…どういうことだ」
風見が冷たい声で詰問する。
「あのコンテナの爆弾が見つかったら、
この場所が見つかったら、
その時は、
どの道、吹き飛ばすつもりだった」
「どういう意味だ!」
語気を強める風見に、
永澤が目を向けた倉庫奥から、もう一人の警官が声を上げる。
「風見さん…!
こ、これ…
タイマーが…
おそらく、爆弾、です」
焦った様子の警官の視線の先には、
コンテナの底においてあったような、黒い箱が見えた。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月5日 13時