犯人との対峙 ページ42
葵は構わず続ける。
『もしかして、貴方、
永澤さん…
ですか。』
「…なんだ、知ってるんじゃないですか。
捕まえに…
あ、弁護士先生なら、
えっと、
コイツの弁護でもしに来たんですか?」
またも推測、による発言だったが、
男はさらりと肯定した。
目の前の田村にナイフをさらに近づけつつ、
冷たい目で、さらに葵を嘲笑う、”永澤”。
5年前の事件の、
殺された由紀ちゃんの身内、
父親、だろうか。
『由紀ちゃんの…お父さん、ですか』
「…由紀はねぇ、
何も…何にも、悪いことしていないのに…
こいつに、
こんな奴に、
誘拐されて、恐怖を与えられて、
挙句、
殺されたんですよ。
ナイフで刺されて。」
永澤は冷たい目のまま、
拘束された男、田村の頭上にナイフをかざす。
「そして、
殺すつもりはなかった、だとか…
偶然刺さってしまっただとか…
心神喪失だったとか何だとか…
情状酌量だとかで…
たった5年で刑務所を出てきたんです
たった、5年ですよ。
理不尽、ですよねぇ…」
永澤は静かな口調で続ける。
そして、ピタリ、と女の子の方へとナイフを向ける。
震えていた女の子の目からは、
次々と涙が溢れている。
んーっ、と小さく呻いているが、
その抗議は、永澤には届かない。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月5日 13時