理不尽な復讐_4 ページ40
そっと、倉庫内へ足を踏み入れる葵。
誰か警察に伝えた方が…と、
緊迫した様子で警官たちが行き来している場所をちらりと見やるが、
もう、11:11まで時間がないことから、
爆発物の処理が優先に決まってる、と、
葵は一人で倉庫へ入っていった。
先ほどのように、警官に見つかることは、無かった。
誰かが、
もしかすると、犯人がいたとして、
葵に何が出来る訳でもない。
嗜んでいる合気道は、稽古不足を反省したばかりだ。
でも、もし、
もしも、
推測が正しかったら。
5年前の誘拐事件に、何か関係があるのなら。
もし、あれが、
供え物なのだと、すれば。
“コンテナを爆発すること”が、
目的なのだろうか。
ぎり、と、
再び下唇を噛み締めながら、
そっと、倉庫の奥へを進む。
“爆弾”
それに対するぞわりとした感情と、
勝手な葵の推測を元にした、
複雑な感情が入り混じる。
奥に見える金属製の古びた階段に近づき、2Fの方へ視線を向ける。
先ほどのような金属音は聞こえず、そこは静かな空間、のように感じる。
そっと、1段ずつ登っていく。
呼吸が速くなる。
階段を登り切ると、
2Fは比較的開けた空間だった。
壁際に、いくつかの金属材が立てかけられ、
そして、その奥に、
1人の男の姿が、見えた。
こちらに背を向けて、下を見下ろすように立っている。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月5日 13時