東都ファンタジーランド_2 ページ31
ランドの入り口には10分ほどで到着した。
開館間もない時刻だが、園内は多くの人で賑わっている。
閉鎖されている様子はない。
エントランスから、園内に目をやると時計台が見える。
(やっぱりそうだ。)
アナログ時計の下に、デジタル時計が備え付けられた時計台は、
そのてっぺんにアリスとウサギ、
周囲はトランプの騎士のマスコットで装飾されていた。
騎士、と表現したからといって、
それが直接”騎士”もしくは”トランプ”と関連する場所、とは限らない。
単に11を示したかっただけ、という可能性も大いにある。
いや、そもそもそれさえも誤っている可能性だってあるだろう。
しかし、鋭くした視線が捉えた園内の景色に、
葵はさらに厳しい表情になる。
(青い、…道)
時計台の少し奥には、
青を基調としたカラーで彩られたジェットコースターのレール。
空、もしくはアリスの洋服をモチーフとしているのだろうか。
数カ所で交差したそのレールは、
まさに、交差する青い道、に見えた。
キャーと楽しそうな悲鳴を上げながら手を上げる乗客。
(黄色い音と交差する青い道…
黄色い音…
黄色い、声…)
悲鳴、をそう表現しているのだとしたら。
(思い込み…かもしれないし…)
そう考えるが、あまりにしっくりくる光景に葵の思考は止まらない。
思考の回転とともに、
噛み締めていた下唇を離し、
今度は軽く親指を当てながらその表情は険しくなる。
だとすれば、その眼下に並べられた赤い箱、があるはずだ。
(園内に入った方が…、それとも…)
ざっと園内を見渡すが、赤い装飾は主にトランプのマークや騎士のマスコット。
箱、のように見えるものは、エントランスから見える範囲では確認出来ない。
並べられた…
そして、”次々に”砕け散る、
ということは、少なくともある程度の数があるということだろう、
葵はそう考えていた。
エントランス外にある館内のMAPでも、
特に該当しそうな場所は、分からない。
館内の情報を調べようとスマホを取り出し、検索するが、
メインのアトラクションにはそういった類のものはなさそうだ。
その他は多くの写真が掲載されており、
全て目を通している暇は無かった。
やっぱり中に入ってみようか…、
と考えていると、
ふと、ランドの横、少し離れた場所に港のような開けた場所が目に入った。
そして、そこに置かれたあるものに目を見開き、
葵は走り出した。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月5日 13時