逃れられない想いとともに。(3)【松田陣平】

東都ファンタジーランド ページ30

(“砕け散る”

…
爆破、予告…)

下唇を噛みしめる。

埋立地特有の風景を見ながら、
ゆっくりとした足取りで駅の方向へと向かうと、
その先に見える色とりどりに彩られた場所が目に入る。



東都ファンタジーランド。



不思議の国のアリスをモチーフにした、テーマパークだ。
オープンしたのは昨年。
アリスの世界を再現したようなアトラクションだけでなく、
ジェットコースターなどの絶叫系も備えている。
ランド全体が、アリスやトランプの騎士、懐中時計、ウサギなどで可愛らしく彩られたその場所は、
大人子供関わらず、非常に人気を博していた。

(2人の、騎士…)

騎士、ナイト、から連想されるのは、

トランプのジャックJ。
ダイヤやクラブのジャックは、確か、アーサー王の騎士がモチーフだったはず。

つまり、11、という数字。
それが2人並ぶ、のは、11:11。

SNSの推理合戦でも上がっていた内容だ。
葵もそう考えていた。

(とすると、あと約1時間)

そして、
“トランプ”のジャック、というワードを頭に浮かべた際、
ふと、先日安田が見せてくれた写真を思い出した。

この間3人で行ってきたんですよー、と嬉しそうに見せてくれたスマホのディスプレイには、
東都ファンタジーランドの時計台前で、
旦那さんと娘の美優ちゃんと並んで嬉しそうにピースをする安田の写真だった。

(あの時計台…
トランプの騎士のマスコットで飾られてた、気がする。)

気になった葵は、そのまま東都ファンタジーランドへと足を運んだ。

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