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喫茶店ポアロにて_5 ページ21

上半身アップの写真ばかりだったので、
いつ撮られたのか、場所も特定出来なかったため、毎日身に着けた服装を手帳に記すようにしていたこと。

それだけでは難しいので、
普段外ではつけない弁護士バッヂを、事務所とその周辺以外ではつけるようにし、また、自宅付近ではジャケットを脱ぐようにして、写真を撮られた場所をより絞り込めるようにしたこと。
それは、安室のエプロンについたシミを見て、考えたことだった。

その結果、
最初の3枚とベランダで撮られた写真以外は、
米花町の”とある会社”を訪れた日に撮られていたことが分かった。
ジャケットに弁護士バッヂをつけている格好の写真ばかりだったため、事務所や自宅付近以外で撮られていたことを特定し、
そして、昨日、その会社付近で写真の背景と似た景色がないかを探していたのである。

もちろん、他の場所で撮られた可能性もあったが、葵がその会社を訪れる日に写真が撮られている、ということは、
まずは、その予定を知っている会社関係者が疑わしいと考えた訳だ。

会社の人間なら、平日に、自身のストーカー行為で会社から離れて行動するのは難しいだろうことから、まずは会社付近を探すと、似ている、景色を見つけたのである。

予定を知っている、それに該当する人物は佐伯だけでは無かったが、昨日の電話で確信した、という訳だ。

「…危ないと思わなかったんですか?
弁護士さん、とはいえ、本当に無茶ですよ…」

今度は叱るような口調ではなく、呆れたような、たしなめるような声色で安室がそう繰り返す。

『知らないところで見られていて、写真を撮られて、最初は気味が悪いと思ったんですが…
そういうコソコソした行為に、だんだん腹が立ってきまして。』

「はぁ…」

『とりあえず、もう大丈夫、だと思います。』

あまり根拠のなさそうな葵の言葉に、
安室は、もう一度ため息をついてから、爽やかな笑顔に戻る。

「もしまた何かあれば相談してくださいね?

あ…、
僕、安室と言います。今更、ですが。
この間も言いましたが、探偵をやっているので、お力になれることもあるかと思います」



『あ、私も、今更ながらすみません。
茅野法律事務所に勤務しています、結城、と言います』

今更ながらの互いの自己紹介に、
改めてよろしくおねがいしますね、とにっこりと笑う安室。

佐伯の分も合わせた支払いを終え店を出ると、葵は大きく息を吐く。
少し軽くなった足取りで、そのまま事務所へと戻って行った。

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設定タグ:名探偵コナン , 松田陣平   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月5日 13時

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