喫茶店ポアロにて_4 ページ20
ふぅ、と息をついて、テーブルの上の写真を眺める葵。
ファイルに戻し、カバンにしまおうとすると、
「大丈夫、ですか?」
と安室が声をかけてきた。
少し前までもう一人別の客がいたのだが、
先ほど帰ったようで、もう、客は葵だけだ。
『あ、うるさくしてしまってすみません』
「いえ…
打ち合わせ、には見えませんでしたが…」
相変わらずの好奇心旺盛な態度だ。
ただ、迷惑をかけたことは自覚している。
うるさくしてしまっただろう、というのもそうだが、
勝手に、彼が探偵だということを、話の中で利用させて貰った訳だ。
この喫茶店で会うことを思いついたのも、2Fの毛利探偵事務所、そして、安室の存在があったから、でもある。
『すみません、ちょっと、トラブルと言いますか。
あ、もう大丈夫だと思うのですが…』
「写真、以前もここで眺めていましたよね。
さきほどチラッと見えてしまったのですが、
…ストーカーされていた、んですか?」
『…まぁ、そういう行為、でしょうか』
チラッと見えたのか、敢えて見たのか。
詮索好きそうな目の前の男を見ながら、そんなことが頭に浮かぶ。
佐伯に対する態度をまだ引きずっているな、と葵は苦笑した。
事情をかいつまんで説明すると、
安室は語気を強める。
「危ない相手だったらどうするんですか!
もっとエスカレートしてたかもしれないんですよ?」
相談してくだされば良かったのに、と、叱るような言葉の後、
でも、どうして彼だと分かったんですか?と、安室は興味本位のような質問をしてきた。
クライアントなので、守秘義務はあるが、
ざっくりと説明を始める葵。
64人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:white12 | 作成日時:2019年7月5日 13時