喫茶店ポアロにて_2 ページ18
「こ、これ…」
『あ、すみません、間違ってしまいました、ね』
佐伯は目の前に出されたファイルの中身を見て、瞬きを繰り返す。
平静を保とうとしながらも、焦った様子は隠せない。
透明なファイルには、
これまで葵に送りつけられてきた、16枚の写真が入っていた。
『あ、これですか?
上手く撮れてますよねぇ』
ファイルの中から数枚の写真を出して、佐伯に見せるように並べる。
『このジャケット、けっこうお気に入りで。
汚れないように、時々しか着ないんですよね。』
目をぱちぱちさせている佐伯に、葵は淡々と話しかける。
『ただ、どこで撮ったのか、ちょっと覚えていないんですよね。
…どこの景色か、分かります?』
「は…?」
含みを持たせた問いだ。
敢えて、”撮られた”とは言わず、
また、”覚えていない”という、
あくまで葵側の持ち物のような言い方である。
『そういえば、ここの2Fって、毛利小五郎さんの探偵事務所らしいですよ。
それと、ここの店員さんも、探偵さんだとか。
探偵さんって、こういう写真1枚から多くの情報を引き出せるんでしょうね。』
えっと…なんの話…
と、か細い声で漏らしながら、佐伯のまばたきの回数が早くなる。
目の前のコーヒーカップには、
まだ口をつけられないようだ。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月5日 13時