特定されたストーカー_3 ページ16
(..今見つかったら、ストーカー、を否定できねぇ、な)
葵の様子が気になった松田は、路地裏に向かう葵の後をつけていた。
通話しながら、急に方向を変えた葵をさらにこっそり追いかけると、
コンビニ前で中年男性と会話を交わす彼女の姿。
“明日15時に喫茶店ポアロ”という言葉が聞こえてきた。
RRRR…
と、今度は松田のスマホの着信音によって、その追跡は途切れた。
とっさにくるり、と向きを変えて、電柱に隠れる。
(ヤバイ事してるわけじゃねぇんだが…
まぁ、見つかったら...マズイか)
「ちょっと、松田くん!どこ行ってるのよ!」
電話の主は佐藤だった。
今日は非番ではない。
数時間前、この近所でひったくり事件があったと通報があり、現場に来た帰りだった。
帰り、というのは松田の認識であるが。
「まだ、報告書書いてないでしょ!」
「悪りぃな。犯人捕まえたんだから明日で良いじゃねぇか。」
毎度のごとく投げかけられる佐藤の抗議に、ぶっきらぼうに答える松田。
そう、松田の手によって、
まだ付近にいた犯人は無事に確保された。
パトカーで同行していたもう一人の警官と佐藤によって警視庁へ連行されていったが、
松田は、被害者のおばあさんからやたらと感謝されながら、
なかなか離して貰えず、出遅れたのだ。
自宅近くという、事件現場に、
後は任せればいいか、と、念の為付近を巡回しながら自宅へ向かっていたという訳だ。
(あ、明日って…
非番だったな。悪りぃ、佐藤、任せた。)
心の中で大した謝罪にもならない言葉を口にして、
松田は電話を切った。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月5日 13時