非通知着信_2 ページ12
目線が、合う。
いや、彼はサングラスをしているから、そう、とは言えないのだが。
どうしようか、声をかけるべきか、
と迷いながら、立ち止まっているのもおかしいだろうと、
松田の方へと歩き出す葵。
電話を終えたのかスマホを下ろし、立ち止まっている松田に、
『こ、こんにちは』
と軽く挨拶だけして通り過ぎようとする。
「あぁ」
松田も軽く返すだけだったが、
「…
なぁ、アンタ…」
と、松田が何か聞きたいことがある様子で話を続けようとしたため、
葵は歩を止める。
『え?』
「いや…
あ…、帰り、遅すぎじゃねぇ?
襲われたの忘れたのかよ」
最初に聞こうとしていた何か、を一旦飲み込むように口を閉ざした後、
松田は葵に注意を促す。
『え…なんで帰りの時間、知ってるんですか?』
「あー
…たまたま、だ。
時々見えんだよ。部屋のベランダから、アンタの姿」
『…なんか、ストーカーみたいですね』
以前、彼の部屋で交わしたやりとりのように、
少し焦った様子で答える松田に、不思議と憎めない、安心感を抱きながら、
葵も冗談めいた言葉を漏らす。
先ほどまで、葵の頭を埋め尽くしていたようなワードだったが、
その口調に憎らしさは感じない。
ちげぇよ、勘違いすんな、
と反論する松田に小さく笑いながら、2人は自然と同じ方向へ歩き出す。
その時、
RRRRR…
着信音が響いた。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月5日 13時