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「うちをドキドキさせて―――バイクを運転できなくなったらどうするつもりなんだ？」
――― 華は大型バイク運転できないし、家までまだ距離はあるのに。
少しばかり唇を尖らせ、不貞腐れて見せる紅葉に、月華は顎に手を添わせると
わざとらしく視線を逸らせた。
「そうですね。紅葉ちゃんに無理はさせられませんから、その時は近くで泊って翌日は朝から買い物に付き合ってくれませんか？」
「華の買い物に付き合うのは構わないが―――
宿を取るにしても、今深夜3時だぞ？どこも開いていないだろ」
月華にしては珍しく 思考が甘いとツッコミを入れようとしたが、
彼は相変わらずの笑顔を紅葉に向けた。
「
なる程―――今は月華の実家の近くだったか。
バイクに装備したナビゲーションシステムを指でスクロールしながら
段々と冷静になる頭が
危険信号を点滅させる。
「え、ちょっと待て！華の実家って―――絶対無理だッ!!
うちは
「大丈夫です。母も使用人も、紅葉ちゃんの”湯船が苦手”だという事は十分承知していますから」
「いや、そう言う事じゃなくて―――ッ」
赤くなっていた紅葉の顔色が、青ざめていく。
堕数体との激闘の後、春とはいえ夜風が冷たい深夜にバイクを高速走行させたのだ……これ以上彼女の身体を酷使するわけには行かず、直ぐにでも休ませたい。
(―――彼女は直ぐに、無茶をするから。動悸がする程疲れているのなら、尚更に休ませなければ)
少し矛先のズレた月華の想いは、紅葉に伝わることなく
ナビゲーションに使っていた紅葉の携帯から実家に連絡を取り、すぐさま迎えを呼び寄せた。
「冷えますよね―――もう少しの、辛抱です」
夜風から庇うようにと抱きしめる腕が、紅葉の動きを硬直させる。
結局―――
直ぐに到着した舞苑家の使用人の車に乗せられ、紅葉と月華、紅葉の愛車は
月華の実家へと帰宅する事となった。
車の後部座席のドアが開いた途端、
仁王立ちして待ち構えていた舞苑家の女性使用人によって風呂場へと強制連行された紅葉が
頭の先から身体の隅々まで磨き上げられた事は
言うまでもない……。
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please wait for a while……
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