Holistic Blue

Karte.12　秋の夜長に ページ46

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皆さんこんにちは―――

俺は柊木 拓人。




今日は律先輩に笑顔で頼まれ、
このひだまりサロンの“代打医師”をしている。

朝晩の寒暖差が大きくなるこの時期は、急激に血圧の上昇を招きやすい。

気候の変化に身体の順応が追い付かず、免疫低下を招き、
様々な病気を発症しやすい時期とも言われており、

何かあった時の救急要因として、駆り出されているわけだ。



ひだまりサロンは、正式な医療施設ではないため、
医師が常駐している必要はない。

当然、バイト代も出ないが―――

ここに居ると、お母様方の手作りランチが頂けるため、
結構気に入っていたりする。




このひだまりサロンを立ち上げた主―――先輩医師の青柳 律は
本日、救急外科当直からの内科外来担当の為、
夕方まで帰ってこない。

俺達が勤務する 東大原総合医療センターは、県内の2.5次救急を受け持っている。

救急当直は基本オンコール制で、当直医師は救急センター隣の当直室で待機し、
要請があった場合に対応する事になっており、当たり外れ(忙しさの差)が大きい。

大学病院程の高度救急医療体制ではないが、
緊急手術や内視鏡検査にも対応できる体制を持っている為、

まぁ基本、熟睡できる当直なんて１年に１度あるかないかの話だ。



律先輩も今頃、眠たい目を擦りながら、
最近転科したという総合内科の外来に奮闘している事だろう。





そんな事を考えながら、
南窓に椅子を寄せて、ぼんやりとサロンの中を眺めていた。


新学期が始まって以降、サロンを訪れる年齢層は両極端である。

比較的時間にゆとりのある高年層か、就学就園前のちびっ子達……と、
最近よく見かける薬剤師のお嬢さん。


人間観察を特に趣味としているわけではないが、
こうして見ていると、在宅での様々な情報を垣間見ることが出来る為、
実に面白い。


例えば第二テーブルで喋りが尽きないお母様方―――
韓流ドラマにハマって睡眠不足、お菓子を食べながら雑談し、最近太って肌が荒れると嘆いている。


(俺から言わせれば、当然だろう)


睡眠は、脳に絶大な影響を与えているのだから。
生産性の向上や健康を語るなら、睡眠は不可欠だ。

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