Holistic Blue

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流石、薬剤師のアドバイスは的確で、薬関係は安心できる。
そう感じたのは、律や日向だけではなかったようだ。


「病院帰りにここに迎えに来てもらう人多いし、ここで風ちゃんにお薬のこと聞けると安心よねぇ」

「ホント。サプリメントを始めたいけど、飲み合わせとか気になっていて……
風ちゃんちょっと、聞いてもいいかしら？」


調理を終えて、一連の処方箋事件を見ていたおば……じゃなかった、お母様方からも 感嘆の声が上がる。

市販薬やサプリメント、ジェネリック医薬品も含めると、世の中に出回る所謂“薬”の種類は膨大である。
律ですら、普段処方などで使用する薬以外は、院内PHSで薬剤師にアドバイスを貰う事が殆どだ。



「皆さんもそう言っているし、
よければこれからもここで、薬の相談を聞いてくれないかな？

風ちゃん」


ひだまりサロンは沢山の人が集まる場所。
仕事等で時間的制約を受ける社会人や、複雑な薬事情を抱える高齢者も多く集まる。

処方薬の受け取りも含め、彼女が薬局との窓口になってくれると助かるだろう。


律はいつもの笑顔を浮かべ、嘆願の視線を風に送った。

彼女は面倒そうに口角を引きつらせたが、現実問題深刻な処方箋管理事情を目の当たりにし、
お母様方からも羨望と期待の眼差しを向けられた風は、NOとも言えず口を紡ぐ。




極めつけは、日向のこの一言……


「風さん、お願いします。
僕も……将来医療者になりたいし、おばあちゃんの事も心配だから、その―――
風さんに、相談できるのは、嬉しい」


どうやら日向と彼女は知り合いだったようで、
見るからに怪しい男からの“お願い”よりも純粋無垢な彼からの“お願い”は効果絶大だった。



風は小さく咳払いをすると、ぶかぶかの袖で口元を隠してふいと視線を逸らせるも、
渋々ながら承諾してくれたのだ。


「分かりました。
処方箋については以前の薬―薬連携でも問題視されていたし、
祖母を迎えに来る“ついで”なら相談を受けますよ」

「ありがとう！風ちゃ……「鬱陶しい。“ついで”、だ」


律が満面の笑顔を送ると、彼女は一層顔をしかめた。




ひだまりサロンに、朗らかな笑い声と 新しい風が吹き抜ける

秋はもう すぐそこまで来ていた。


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