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とはいえ、口だけの丸腰で試験に臨むわけには行かない。
分厚いテキストを開いては問題を解いているものの、焦りが先立ちなかなか集中が出来なかった。
場所に申し分はない。
サロンに集まった人の話し声は、静かな部屋で一人勉強するよりも却って集中できる。
律はこれをマスキング効果だと言ってくれた。
ある音が別の音によって妨害され、聞き取りにくくなる現象だという。
そう―――公衆トイレについている擬音装置や、レストランのBGMなんかがそうらしい。
僕にとっては、律の教えてくれるそう言う雑学的な物の方が、頭に残りやすい。
いっそ、律が試験の内容を面白おかしく解説してくれたら……なんて余計な事を考えながら勉強をしていても、全然身に入った気がしない。
(集中力がきれたかな……)
諦めて僕はペンを置いた。
すると、タイミングを見計らったかのようにグラスを片手にもった律が隣に座る。
「休憩？」
「うん」
僕が重い返事を返すと、突然律が大きな背伸びを始めた。
「―――……」
「はい、日向も」
催促され、思わず僕も両腕を高く挙げて背を伸ばす。
確かに、一瞬でリフレッシュできたような気はした―――
「そして、これ」
体を伸ばした僕に、間髪入れずに渡されたのは青いインクのボールペン。
(なんだろう……律が受験で使っていた、縁起のいいペンとか？)
不思議そうに青ペンのさきに視線を寄せ、色々な角度から観察してみるが、いたって普通のペンにも見える。
その様子を見ていた律は、くつくつと腹を抑えて笑い出した。
どうやら、ペン先を見つめる僕の目が寄り目になっていたらしく、その変顔が面白かったようだ。
「なんだよ―――人の顔見て笑うなんて」
頬を膨らませ不作れていると、ごめんごめんと気持ちのこもっていない謝罪が返って来る。
「確かに、同一姿勢で問題を解いていると、目のピント調節をする筋肉が硬くなる。
それは肩凝りや疲労に繋がるから、いいリフレッシュ方法だと思う。
だけど、今回俺が言いたかったのは、“青ペン学習法”だ」
先程変顔を笑われた事もあり、律に対して訝し気な視線を向けていると、彼はポケットから、黒いインクのボールペンを出した。
「青い色は色彩心理学的に人の心を落ち着かせる色と言われているんだ」
色彩心理学―――
その興味深いワードに、僕はペンを置いて目を輝かせた。
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シオン(プロフ) - この囲碁の影の人は誰か凄く気になります。 (2022年9月27日 7時) (
レス) @page49 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 自分のキャラも登場させてくれてありがとごさいます。 (2022年9月19日 22時) (レス) @page38 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
スピカ(プロフ) - 風を出演させて下さりありがとうございます！こんなにも早くサロンのお手伝いができるとは思わなかったのでとても嬉しく思います！風の態度や話し方、律さんへの接し方と日向くんへの接し方の温度差も私が希望通りです！ありがとうございます！ (2022年9月19日 16時) (レス) id: 64ca5697bb (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 律さん、風邪大丈夫になるのですか！心配です。 (2022年9月19日 8時) (レス) @page30 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
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