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ぐぅぅぅぅ




空気の読めない腹の虫が、タイミング悪く空腹を主張する。


「あっ」


握りを突き返した手と逆の手で、咄嗟に腹を抑えてはみるが後の祭り。
隣に座った男は、一瞬青い瞳を大きく見開くと、次の瞬間はくっくっと笑いを堪えて口を覆った。

気まずくて視線を逸らせる自分の頬が、恥ずかしさで段々と熱を帯びていく。


「知らない人じゃなければいいのだろう?
俺は今日からここに引っ越ししてきた青柳 律(あおやぎ りつ)だ―――よろしく」


律でいいよ。
と、眩しいばかりの笑顔を向けて、男は手を差し出してきた。

「これで俺達は知り合いだ」と言われても、不信感はちっとも拭えやしない。

男とは対照的に、差し出された手を一瞥した僕の表情筋は訝し気に歪んでいく。


「こ、ここって―――?」


緊張で強張った肩は丸くなり、上目遣いに睨む僕に、青柳律と名乗った男はにんまりと口元を綻ばせたまま、後ろを指差した。


「ほら、あの一軒家」
「え、あの家住めんの?」





思わず本音が零れた。
空き家になって長いあの建物は、所々屋根も剝がれている。

どう見ても、人が住める場所じゃない。
住宅街からも少し離れ、街頭もない。その不気味さは夜ともなれば格別なのだ。

だからこそ近所の子ども達からは肝試しスポットとして有名だったというのに。
自転車で丘を少し降りると、ここよりずっとマシな空き家だってそれなりにあるはずだ。



理解が追い付かず呆けたままの僕の前で、律は顎に手を当て暫く考え込むと、ぽんと柏手を打った。


「大丈夫さ、何とかなる!」


僕はもう一度、後ろにひっそりと建つ一軒家に視線を向けた。


(どう見ても、“何とかなる”レベルじゃなさそうだけど―――)


楽観的なのか単なる馬鹿なのか、目の前で微笑む律に対し、僕は不信感を一層募らせた。




Karte.2 空色の屋根 →←├



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シオン(プロフ) - この囲碁の影の人は誰か凄く気になります。 (2022年9月27日 7時) (レス) @page49 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 自分のキャラも登場させてくれてありがとごさいます。 (2022年9月19日 22時) (レス) @page38 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
スピカ(プロフ) - 風を出演させて下さりありがとうございます!こんなにも早くサロンのお手伝いができるとは思わなかったのでとても嬉しく思います!風の態度や話し方、律さんへの接し方と日向くんへの接し方の温度差も私が希望通りです!ありがとうございます! (2022年9月19日 16時) (レス) id: 64ca5697bb (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 律さん、風邪大丈夫になるのですか!心配です。 (2022年9月19日 8時) (レス) @page30 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kohaku | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年9月17日 10時

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