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風が草木を擦る音が、心地よく耳を撫でる。
眼下に広がる海の、波の音がここまで聞こえるような、澄み渡る晴れの日。
梛の木陰で海を描いていた僕は、画用紙に落ちる影の方向が変わった事にようやく気が付いた。
「あっと……いけない、今何時だっけ」
隣に置いたリュックから携帯電話を取り出そうと手を伸ばすと、画用紙の上におにぎりが落ちてきた。
「？！」
びくりと肩を震わせると、山折りの膝で支えていた画用紙の上の鉛筆がころころと転がり、草の上で止まる。
慌てて鉛筆に手を伸ばすと、今度はおにぎりが転げ落ちた。
「わ、わっ」
「ははっ―――ごめんごめん、驚かせたね。もう昼過ぎだけど、お腹空かないかい？」
慌てる僕の腕より先に、しかしながら悠然に伸びてきた腕が、鉛筆とおにぎりを掴み、行き場を失った僕の掌にそれらを乗せた。
ようやく僕は、近くに人がいた事に気付いたのだ。
その人は、僕の掌に鉛筆と、コンビニで買ってきたであろうおにぎりを置くと、僕の隣に座って両膝を投げ伸ばし、徐に大きく背伸びをして見せた。
少し撚れたTシャツに疎らに髭が伸びたその男は、お世辞にも綺麗な恰好ではなかったが、海のように透き通った青い瞳に視線を奪われた僕の半開きになった口は、次の言葉を忘れてしまった。
「素敵な絵だね！窓の外の景色が飛び込んできたみたい」
朝から一歩も動かずに、凄い集中力だ―――と、男は笑った。
はっと我に返った僕は、今更ながら警戒心を見せて眉を顰める。
そんな事はお構いなしに、男は僕の隣で海を見つめながら、聞いてもいない話を続けた。
この場所は、町の者なら誰でも知っている。
当然、絵を描いている途中に人に会う事もあったが、隣に座った男は初めて見る顔だ。
恰好こそラフだが、よく見れば容姿はなかなかに整っている。
座ってはいるが、すらりと伸ばした足は僕なんかよりもずっと背が高いだろうし、こんな田舎で、惹きつけるような青いカラコンを入れていれば、噂好きのクラスの女子達が学校で話していそうだ。
不審な男の話など聞き流すつもりで、知らない人に物を貰っちゃダメだと祖母からも言われている。
だからこのおにぎりも、突き返すつもりでいた。
それなのに……
「要りません。知らない人から物を貰っちゃダメだって、言われているから―――」
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シオン(プロフ) - この囲碁の影の人は誰か凄く気になります。 (2022年9月27日 7時) (
レス) @page49 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 自分のキャラも登場させてくれてありがとごさいます。 (2022年9月19日 22時) (レス) @page38 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
スピカ(プロフ) - 風を出演させて下さりありがとうございます！こんなにも早くサロンのお手伝いができるとは思わなかったのでとても嬉しく思います！風の態度や話し方、律さんへの接し方と日向くんへの接し方の温度差も私が希望通りです！ありがとうございます！ (2022年9月19日 16時) (レス) id: 64ca5697bb (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 律さん、風邪大丈夫になるのですか！心配です。 (2022年9月19日 8時) (レス) @page30 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
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