第22夜：贖罪 �� ページ31
こういう日に限って―――…見つかるなんて、運が悪い。
「―――どうして、着いてくるんですか…陸翔さん」
後ろを振り向くことなく、木々の枝を渡りながら高速で森の中を走り抜ける狼男姿の隼を、地を同じく高速で走り抜ける狼姿の陸翔が追いかける。
森渡りの高速移動には自信があった隼だが、流石に狼獣姿の陸翔を撒くのは骨が折れる。
「いや、オマエ、面白そうな匂いがするからな―――」
その日も、陸翔からの遣いに駆り出された隼は、彼の野暮用を済ませると、別用があるからと早々に狼男の里を切り上げた。
先日依頼していた“水質調査”の結果が戻っており、再度“調査”に行くためだ。
“お楽しみ”は一人で行くつもりだったのに―――。
気づけば後方から気配が追ってきて、こうして後を付けられている。
(獣の鼻って“面白そうな匂い”なんてのが分かるのかよ……便利だな)
嫌味を心の中でとどめた隼は、言葉の代わりに大きなため息を吐き出した。
このまま“例の場所”に向かえば“アレ”の事が陸翔にバレてしまう……。
意を決した隼は木枝から飛び降りると、後ろをついてくる陸翔の目の前に立ちふさがった。
「だから、着いてこないで下さい。諜報活動なんです―――」
「森を抜けるのは危険だぜ？お供してやる―――」
「結構です。」
はっきりと拒否する隼だが、陸翔は食い下がるつもりはない様子。
にんまりと微笑んだ口元からは犬歯が覗いており“面白い事ならオレにも教えろ”的圧力を加えた。
(まぁ、ハヤトが脅しで口を割るような弟子じゃない事くらい、知っているさ。……素直過ぎるって事もな―――)
「オレの“過去”は―――聴かせただろ？」
目を細め、断固と口を割らない隼との距離を詰め、手首を掴む陸翔。
冗談交じりだった表情は、一瞬にして真剣な面持ちへと変わった。
「手に届く“大事なモノ”なら守りたい―――もう何も失いたくない事くらい、理解しろ…ハヤト」
陸翔の濃紫の瞳が、真っすぐ隼を捕らえる。
先日深い森で黒塊に遭遇したばかりだ。
隼を“第二の姫”にしたくない―――そう言いたいのだろうか。
「―――……」
「これ以上を―――オレに言わせるな？」
「陸翔さん―――。スミマセン…俺、メスじゃないんで全くときめかないです」
「は？」
「だから……
カッコ良い台詞なんですけど、先日“ミスト”をナンパしてきた男の言葉に似過ぎていて……」
「――――・・・・・。」
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kohaku(プロフ) - レイレインさん» 有難うございます！師弟の回はもう少し続きます…！ (2021年5月27日 7時) (
レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
レイレイン - この陸翔と隼の関係、好きです！やっぱり結局は師弟なんだな。と温かくなります。 (2021年5月27日 6時) (レス) id: b67eda2bb0 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - いえいえ、こちらこそ身内みたいで見てて微笑ましいです！これからも身内みたいな幼馴染お願いします笑 (2021年5月26日 18時) (レス) id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 美園さん» すみません…CSの関係逸脱してしまっていますかね…（汗）ハノンさんの事は、身内のように心配して、大事にしています！（陸翔達のCSで、ハノンさんとの関係欄のセリフ参照位に…照） (2021年5月26日 18時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
セレーネー(プロフ) - kohakuさん» よし、応援します！頑張れ！隼さん！ (2021年5月26日 18時) (レス) id: f5691cda52 (このIDを非表示/違反報告)
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