第21夜：天原に輝く蒼い月 �� ページ26
「だったら、子守歌代わりに昔話をしてやろう―――オマエ等が掴んだオレの弱点……“姫”について」
『―――……』
「ある程度知ってはいるようだが―――まぁ、オマエにとっても悪い話ではないだろう？」
『主の身体と、すでに得ている情報の再確認では対等と思えませんが――』
(まったく。ハヤトに似て真面目な事だ……)
「すでに得ている内容かどうかは―――解らないぜ？オマエの主が、こんなになるまで追い求める“黒塊”の正体に、迫れるかもしれない…」
『―――……迫れるような内容ならば、貴方がすでに掴めているはずでしょう』
陸翔の眼を逸らすことなく、睨みつけるハク。この取引、全く対等ではない事は、ハク自身も判っていた。
強がった態度を見せてみるが、陸翔と戦闘になればハクに勝機など微塵もない。
今の陸翔からは殺気は感じない、
だが…これ以上交渉を続ければ、彼が機嫌を損ねて主に手をかけかねない。
陸翔を信じ、ここで折れるしかないのだろうか……。
心中で苦しい葛藤を行うハクは、床で眠る隼に視線を向けた。
『―――………解りました。この状況、どう考えても私に主を守れる力はありませんから。
寝屋までの介助をお願いします』
「だ〜から…襲わないっての！あんまり煽るとホントに襲うぞ？！」
(あ、しまった……)
冗談で言ったつもりが、再びハクの視線が陸翔を刺す。
「ったく―――主が真面目なら、従獣もこうなるのかねぇ…」
ハクの冷たい視線を背中に浴びながら、陸翔は床に転がる隼の身体を抱きかかえた。
陸翔から見れば、まだあどけなさの残る中性的な顔立ち。
敵わないとわかっていながらも、“諦めたくない”と言い放った純粋な心。
「オレにも―――ハヤトのような少年時代があったんだがな……」
『………―――』
隼の身体を抱えて運ぶ陸翔の、隣をゆっくりと飛ぶハク。
(長く生き過ぎると、感情さへも”世界“に呑み込まれてしまうんだな―――)
自嘲を浮かべた陸翔が、再び口を開いた。
「さて―――何を話すんだっけ？そうそう…俺達“狼”と、“姫”についてだったな―――」
静まり返った広い屋敷の、窓から蒼い光が廊下を照らす。
床に映し出された影が、黒と白の世界を描いている。
陸翔は窓の外に輝く蒼い月を見上げ、懐かしそうに目を細めると、“昔話”を始めたのだった。
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kohaku(プロフ) - レイレインさん» 有難うございます！師弟の回はもう少し続きます…！ (2021年5月27日 7時) (
レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
レイレイン - この陸翔と隼の関係、好きです！やっぱり結局は師弟なんだな。と温かくなります。 (2021年5月27日 6時) (レス) id: b67eda2bb0 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - いえいえ、こちらこそ身内みたいで見てて微笑ましいです！これからも身内みたいな幼馴染お願いします笑 (2021年5月26日 18時) (レス) id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 美園さん» すみません…CSの関係逸脱してしまっていますかね…（汗）ハノンさんの事は、身内のように心配して、大事にしています！（陸翔達のCSで、ハノンさんとの関係欄のセリフ参照位に…照） (2021年5月26日 18時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
セレーネー(プロフ) - kohakuさん» よし、応援します！頑張れ！隼さん！ (2021年5月26日 18時) (レス) id: f5691cda52 (このIDを非表示/違反報告)
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