第17夜：精霊の加護 �� ページ10
精霊の里―――
『僕は―――隼を視ようとしているから、隼の事が見つけられるんだよ』
深紺色のショールで深く口元を覆い、頭部の鬼の象徴ある二本の角を消し、
隠密活動で培ったスキルで気配を極限まで薄く忍ばせたこの姿では、
変装をしていなくても誰も彼の存在に気を止めない。
堂々視界に居たとしても、
ヒトは…その存在を認識されなければ、消えているのと同じなのだ。
ヒト通りの多い昼間の往来で一人、公園の噴水の淵に腰掛ける。
天から降り注ぐお日様の光が柔らかく、里長リリアの加護に守られた里の中では、
身体を流れる力の源…マナが安定して心地よい。
何をするでもなく、ただじっとそこに座って居る…
誰にも認知されず、活気立つ人混みに居ながらも、独りでいる静けさを感じていた。
ふと、黒い手袋を着けた右手に視線を送る。
(―――……よし、だいぶマナが安定したか……流石精霊の里、加護の力が大きいな)
最近は不摂生が祟り、身体の倦怠感を著明に感じていた。夜間に活動する事が多いが、昼間は昼間で所用も多い。”睡眠を取らなくても生きていける薬が欲しい”と、魔女の長であるマリカに依頼したが、思案もせず”無理”の一言を返された。
(あの態度―――絶対近しいものを作れるくせに、作ってくれないんだ……)
理由は分かっている。
隼が働き過ぎないようにと、心配しての事だろう。
そんなものを作れば最後、隼が昼夜休むことなく活動することは、目に見えていた
「落ち着くなぁ―――ここ」
「僕ならもっと―――隼を癒せるよ？」
ストン―――
と、隣に小さな影が降って来る。近すぎる朱色の髪が、隼の頬をくすぐった。
「大気中の加護を集めるより、僕がハグ(加護)している方がずっと早く安定するのに」
「―――……アリアといると目立つから、隠れていたのに」
気配を抑え、存在を断つ。
そこに居ながら―――
「嘘つき」
隼の思考に、アリアは言葉を割った。
「僕に見つけてほしいって、オーラが言ってる」
「…精霊は、オーラで心を読むの？」
「僕が、隼の心を読めるだけ」
彼女のいう事は、間違ってはいない。
不摂生が祟って崩れたマナを安定させる為―――を口実に、
あわよくば……いや、本心ではアリアが見つけてくれるのを確信していた。
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kohaku(プロフ) - レイレインさん» 有難うございます！師弟の回はもう少し続きます…！ (2021年5月27日 7時) (
レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
レイレイン - この陸翔と隼の関係、好きです！やっぱり結局は師弟なんだな。と温かくなります。 (2021年5月27日 6時) (レス) id: b67eda2bb0 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - いえいえ、こちらこそ身内みたいで見てて微笑ましいです！これからも身内みたいな幼馴染お願いします笑 (2021年5月26日 18時) (レス) id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 美園さん» すみません…CSの関係逸脱してしまっていますかね…（汗）ハノンさんの事は、身内のように心配して、大事にしています！（陸翔達のCSで、ハノンさんとの関係欄のセリフ参照位に…照） (2021年5月26日 18時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
セレーネー(プロフ) - kohakuさん» よし、応援します！頑張れ！隼さん！ (2021年5月26日 18時) (レス) id: f5691cda52 (このIDを非表示/違反報告)
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