第３夜：MIST �� ページ10
可愛らしく笑う金髪の女性…彼女はこの里の長、ハノン＝エオストレ…
無下にするわけにもいかず、足を止めて振り向いた。
「―――……なんでしょう、ハノン様。」
「シノンを送って下さり、有難うございます……」
「いえ―――では、私も、これで」
失礼にならぬよう、簡単な挨拶を終えると隼は再びストールを翻した。
「怪我を―――していますね。見せてください」
いつの間に来たのか、音を立てずに隼の隣に並ぶハノン。
「……―――」
長いストールで傷口と汚れた服は彼女から見えないはず。
自然を装う隼の内心は、心音が煩い。
まさか、もう変装がばれたのではないか…彼女の一言一言が、妙に緊張感を煽った。
「お腹の傷を、治すだけです――」
他意はないと、ストールの上から腹部に手をかざすハノン。暖かいお日様のような温もりと共に、痛みが徐々に緩和されてゆく。
「―――……有難う、ございます」
「いえ、お帰りも―――お気を付けくださいね」
(帰り―――……か)
隼を女エルフと思っているのなら、なかなか使わない言い回しだ。
彼女の言葉が妙に引っかかる。だが、確信を得るには情報が不十分だった。
かと言って、長々と話し込んで墓穴を掘る羽目になることは、何としても避けたい。
隼は小さく礼をし、エルフの里の街の中へと消えていった。
(あれ…バレて―――ないよな？)
自らに言い聞かせるが、自信はない。
―――得られた情報は大きいが、これでは諜報任務失敗だな…。
隼は一通りエルフの里を歩いた後、大きなため息とともに自らの里へと戻っていった。
・
・
・
・
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kohaku(プロフ) - 名無しさん» コメント有難うございます。お褒め頂けて光栄です！ (2022年5月28日 15時) (
レス) id: 010498cf3b (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 情景描写がとても素敵で感動しました！ (2022年5月28日 13時) (レス) id: 645a3b4e65 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト受けて頂きありがとうございます！！ (2021年5月16日 9時) (レス) id: 16ac793f5a (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 美園さん» リクエスト有難うございます！確認事項がありますので、ボードにお邪魔いたします (2021年5月15日 20時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト？でシノンちゃんがハノンに紙芝居を見せた後、陸翔くんがどうなったか知りたいです！いいですかね？ (2021年5月15日 20時) (レス) id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
