第14夜：神のベール �� ページ43
ふと、思い立ったように話し出すマリカに、猫舌ながらにやっと珈琲を飲み終えた隼は首をかしげて怪訝そうに尋ねた。
『ミスト』とは、昔、ある人が女装姿の隼につけてくれた名前で、
便宜上女性姿での任務の時はその名前を使うようにしていた。
(意味なんて、考えたこともなかったけど―――)
―――ベールとは、隠すもの…守るもの―――転じて、魔よけの意味をも持つと言う。
「まぁ、“魔女”にそれを言ってもねぇ！」
けらけらと笑うマリカの隣で、ため息を浮かべる隼。
「―――……(それを言うなら、“鬼”に“魔よけ”を言われても―――だよなぁ)」
単に隼の名前…霧影の“霧(MIST)”からもじったのかと思ったが、そんな深い意味を考えて言ったのなら名前違いも甚だしい。
冗談半分に揶揄うマリカに、激しく同意してしまう。
「ああ悪い！名で揶揄うつもりは微塵もないんだ。
むしろ、どこか不思議(謎)な雰囲気を持つミストには、似合っている」
(虚ろで儚くて掴めない…影―――いや、まるで“霧(MIST)”のような子……)
マリカはからのカップを握ったまま、目を細めた。
「―――……よくわからないけれど、私は帰りますね…また来るよ」
「ああ、次はこれを頼んだよ」
帰り際に、マリカから新たなリストを受け取ると、その内容を流し見る。
「―――……何これ」
彼女からの依頼は毎度毎度、難易度が上がっている気がして仕方がない。
もはや、物の形すら想像ができない。
「フェリル…これは、薬草？鉱石？動物の皮？それとも……」
考えつくものをいくつか挙げてみるが、マリカは首を横に振り、にんまりと笑う。
「じゃぁ、ヒントをやろう！それは薬の調合に必要な花の茎だ！」
「花の…茎？」
「で隣は動物の秘蔵で、その次が……」
楽しそうに話し始めるマリカの隣で、隼の顔が引きつっていく。
「―――…お手柔らかに、頼みます」
改めて、手にしたリストに目を通してため息をついた。
(―――…これ、見つけられるのかな…)
またもや難題が、隼にのしかかったのだ。
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kohaku(プロフ) - 名無しさん» コメント有難うございます。お褒め頂けて光栄です！ (2022年5月28日 15時) (
レス) id: 010498cf3b (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 情景描写がとても素敵で感動しました！ (2022年5月28日 13時) (レス) id: 645a3b4e65 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト受けて頂きありがとうございます！！ (2021年5月16日 9時) (レス) id: 16ac793f5a (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 美園さん» リクエスト有難うございます！確認事項がありますので、ボードにお邪魔いたします (2021年5月15日 20時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト？でシノンちゃんがハノンに紙芝居を見せた後、陸翔くんがどうなったか知りたいです！いいですかね？ (2021年5月15日 20時) (レス) id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
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