第14夜：神のベール �� ページ42
怪しげな液体を混ぜたフラスコを揺らしながら、マリカはくすくすと笑った。
こう見えても彼女は魔女の種族を束ねる里の長である。
本人の前で年齢の話はしないが、年も隼と大して違わず、何千年も生きる人外達が数多く住まう、この死神の里の中ではかなり若い方だ。
その若さをもって一種族の長となるのだから、その実力は群を抜いていると言えよう。
ひとしきりの作業が終わったのか、マリカは背伸びをしながらどこかへと消え、椅子に座る隼の前に珈琲を差し出した。
「安心しな、これは普通の珈琲だから」
「―――……別に疑ってはないよ。有難う・・・」
隼が珈琲を口にするのを見ると、自らも淹れたての珈琲を口にした。
「ところで隼、ちゃんとご飯は食べているのかい？」
まるで母親のようなマリカの言葉に、隼は吹き出しかけた珈琲を抑え、咽込んだ。
「ゲホゲホ！！！何？藪から棒に…」
「いや、いつまでたっても肉も胸も付かないから、心配してるんだ」
「―――…悪かったなぁ、筋肉なくて」
(今は魔女…女性の姿をしているんだけど……)
マリカの元を訪れるときは魔女の里に入る為、魔女の姿に扮して会う。
その際は“ミスト”と名乗っているが、
彼女から薬の提供を受けている為、自然と隼が変装をしたり、諜報活動を行っていることがばれてしまうのだ。
(諜報活動を行っている事がバレるのは痛いが、フェリルの薬なしには仕事はできないからな。
背に腹は変えられない。)
マリカも、そんな隼の事情を察してか、彼がどこで何をしているのかを聴くことはなかった。
二人の間には友人というだけでなく、そこにはパトロン……いや、
クライアントとホストの関係が成り立っており、
互いに機密情報の漏洩は行わないという暗黙の了承がある。
だからこそ、安心して彼女の作る薬をリピートできるというわけだ。
珈琲を飲み終えたマリカは、隼の前に幾つかの小瓶を差し出した。
「ほれ、頼まれていた代物だ。」
「有難う、助かる―――こちらも、リストにあったものは集めた。本物かどうかの区別は“私”にはできないから、ここで確認してもらっていい？」
ふむ。と頷くと、隼が持ってきた袋の中身を丁寧に確認する。
「うん、間違いはない。全て本物だ……相変わらず、大した情報力だな―――“ミスト”」
「どういたしまして。」
「―――ミスト…か。”神のベール”と言う意味だね…。」
「神のベール？」
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kohaku(プロフ) - 名無しさん» コメント有難うございます。お褒め頂けて光栄です！ (2022年5月28日 15時) (
レス) id: 010498cf3b (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 情景描写がとても素敵で感動しました！ (2022年5月28日 13時) (レス) id: 645a3b4e65 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト受けて頂きありがとうございます！！ (2021年5月16日 9時) (レス) id: 16ac793f5a (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 美園さん» リクエスト有難うございます！確認事項がありますので、ボードにお邪魔いたします (2021年5月15日 20時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト？でシノンちゃんがハノンに紙芝居を見せた後、陸翔くんがどうなったか知りたいです！いいですかね？ (2021年5月15日 20時) (レス) id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
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