第14夜：神のベール �� ページ41
深い森の奥にひっそりと立つ屋敷の煙突から、黒い煙が立ち上る。
昼間というのに薄暗く、周囲には目を光らせたカラスが数羽…
屋敷を監視するように目を光らせて止っていた。
黒いとんがり帽子をかぶった女が、木々を抜ける。
魔女の姿に扮した隼が屋敷に近寄ると、数羽のカラスが声を上げて飛び立った。
頭にとんがり帽子をかぶったオスのカラス“ベリアル”もまた、
女が屋敷を訪れたことを主人に伝えるべく、二階の開いた窓から屋敷に入っていった。
隼が大きくそびえるドアの前に立つと、扉を触れてもいないのに自動でドアが開かれ、カラン…と重いドアベルが鳴る。
「フェリル―――いますか？」
先程飛び立ったとんがり帽子をかぶったカラス…ベリアルがいるということは、
屋敷の中に尋ね人のマリカ・フェリルージュが在宅している事はわかっていた。
「アポイントを受けているのに留守なんて意地の悪い事は流石の私もしないさ！いいから隼、そのまま上がっておいで」
屋敷の奥から聞こえるマリカの声に、隼はそのまま奥へと進む。
魔女の屋敷は、いつ見ても不思議なもので、好奇心が疼く。
深くかぶったとんがり帽子を整えて、
深紫の長髪を揺らしながら勝手知ったるいつもの部屋へと足を進めた。
立ち込める、独特のハーブの香りに目をしかめる。
この香りは、いつ来ても慣れない。
「やあ！隼―――っと、その姿の時は“ミスト”だったか？頼まれたものはできている。
これが終わったらそちらに行くから、もう少し待っていてくれ！」
色の違う液体の入ったいくつものビーカーの前で、魔導書らしきものを片手にぶつぶつと独り言を言うマリカを確認すると、隼は近くの椅子にと腰を掛けた。
「今度は、何を作ってるの？」
椅子に腰を掛けたまま興味深げに尋ねる隼に、マリカはにんまりと口元をほころばせた。
「興味があるなら、試し飲みしてみるかい？」
彼女の作る薬が素晴らしいものであることは、隼自身もよく知っている。
隼が諜報活動で使う煙幕や変装等には、マリカの薬を使用しており、
その効力は折り紙付きだ。
だからこそ、定期的に彼女の元を訪れては、薬の購入を行っていたのだ。
だが……
「―――……霊長類での治験が終わっているなら飲むけど？」
新薬となれば話は別だ。安全性の担保されていない薬の被験者になるのは御免である。
「それは〜残念」
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kohaku(プロフ) - 名無しさん» コメント有難うございます。お褒め頂けて光栄です！ (2022年5月28日 15時) (
レス) id: 010498cf3b (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 情景描写がとても素敵で感動しました！ (2022年5月28日 13時) (レス) id: 645a3b4e65 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト受けて頂きありがとうございます！！ (2021年5月16日 9時) (レス) id: 16ac793f5a (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 美園さん» リクエスト有難うございます！確認事項がありますので、ボードにお邪魔いたします (2021年5月15日 20時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト？でシノンちゃんがハノンに紙芝居を見せた後、陸翔くんがどうなったか知りたいです！いいですかね？ (2021年5月15日 20時) (レス) id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
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