第12夜：魔法の言葉 �� ページ36
エルフの里―――
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麗らかな午後―――エルフの里を離れた森の中で、赤いストールを羽織った女エルフが二名、
薬草探しに出かけていました…。
すると、音もなく忍び寄る蒼い影が一つ―――。
「オマエかぁ？！護衛もつけずに森をうろついていたというアホエルフは…
腹減らした狼に喰われちまうぜ？！」
そこには、紺色の狼男が鋭い牙と爪を光らせていました。
「出たな！悪い狼ッッ！！ミストさん、やっつけちゃって！！」
小さな女エルフ、シノンは堂々と狼男を指差しました。
今日は一人ではなく、大人の友人と一緒に来ていたので、
彼女には狼を払いのける自信があったのです。
「いや、無理でしょ。この人強いから―――」
シノンの予想に反し、共に来ていた大人のエルフ、ミストはあっさりと答えます。
「ええっ？！ミストさん、こいつ倒せないの？！」
「―――……(こいつって…)ええ、私達には無理ね」
「そういう事だ！二人とも―――おとなしく俺に喰われな！」
紺色の耳と尻尾を揺らしにんまりと微笑む狼男は、鋭い爪を伸ばした腕を伸ばすと、じわりじわりと近寄ってきます。
「―――ッッ。ミストさん…私達、狼に食べられちゃうの？」
先程まで勢いの良かったシノンは、急に怖くなったのか、ミストの腕を握って背後に隠れました。
「―――大丈夫、シノン。私達には“この狼”を一言で黙らせる事のできる魔法の言葉があるから…」
「「魔法の言葉？」」
瞳を潤ませるるシノン。狼男もまた、怪訝そうに顔をしかめました。
「おい、ハヤ―――じゃない、“ミスト”！オマエ魔法なんて使えないだろ―――！生意気言ってると本当に喰っちまうぜ？！」
こんな女・子供のエルフ二人に等、逆立ちしたって負ける理由がない……。
自分の実力を考えても自信のあった紺色の狼は、“ミスト”の挑発的な態度に苛立ちを募らせ、
“彼女”の顎をグイッと上向かせますが、
ミストに慌てた様子はありません。
そして一言・・・・・・
「―――『何かしたら、ハノン様に言いつけます』」
「―――ッッ？！！！」
その言葉に、“ミスト”の顎に当てていた手を離し、紺色の狼男は２・３歩後ずさります。
「ハノン…様？」
急に弱腰になる狼と、表情を崩さない“ミスト”の顔を往復させたシノン。
一体何が起こったのか、彼女には皆目の検討が付きません。
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kohaku(プロフ) - 名無しさん» コメント有難うございます。お褒め頂けて光栄です！ (2022年5月28日 15時) (
レス) id: 010498cf3b (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 情景描写がとても素敵で感動しました！ (2022年5月28日 13時) (レス) id: 645a3b4e65 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト受けて頂きありがとうございます！！ (2021年5月16日 9時) (レス) id: 16ac793f5a (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 美園さん» リクエスト有難うございます！確認事項がありますので、ボードにお邪魔いたします (2021年5月15日 20時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト？でシノンちゃんがハノンに紙芝居を見せた後、陸翔くんがどうなったか知りたいです！いいですかね？ (2021年5月15日 20時) (レス) id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
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