第９夜：温泉？！ �� ページ27
森林調査の任を受け、白鷹のハクと共に深い森を散策していた隼は、その異様な光景に息をのんだ。特段冷え込んだ朝ではないというのに、池から水蒸気が上がる―――これは…。
恐る恐ると近寄り、右手の手袋を外すと池の水に手を付ける。
「凄い―――池の水が暖かい…」
『主―――これは、所謂“温泉”と呼ばれるものですね』
隼の肩に止まっていたハクが、水面をのぞき込む。
「これが―――温泉……」
温泉とは、地中から湯(熱水泉)が湧き出している現象や場所、
湯そのものを示す言葉であり、
デスロードに迷い込んで捕虜とした人間から聞いたことがあった。
熱源で分類すると、火山の地下のマグマを熱源とする火山性温泉と、
火山とは無関係に地熱などにより 地下水が加温される非火山性温泉に分けられるようだが、
この辺りに火山はない。
となれば、地熱などで温められた地下水が 湧き上がっているのだろうか。
「ともあれ、興味深いな―――サンプルを持ち帰って水質を調べてみよう…」
『主―――此度の目的は森林調査のはず―――水質を調べてどうするのですか？』
「この池の水は、周辺の森林を栄養している水源だろう。
なら、森林調査の一環じゃないか！」
そう言って手持ちの小瓶に温泉水のサンプルを汲み上げる隼は、どこか機嫌が良さそうだ。
玩具を見つけた子供のような表情に、ハクは小さなため息をつく。
(主―――それは調査ではなく、絶対個人的な好奇心が入っていますよね……)
声に出して突っ込みたかった言葉を、喉元でぐっと抑えた。
もともと物静かな性格で自主性に乏しい隼が、自分から何かに興味を持つのは珍しい。
だが、18年も隼のお供をしていれば自ずと見えてくる…
彼は、興味がある物事には一途で、普段は自ら決断することが少ないくせに、有事の決断力は早い。今も、“温泉”という興味深いモノを見つけてからの自主的な行動とあれこれの決断は、早い。
(そういえば最近は、精霊の姫に対して熱を上げているようだったが
……姫？あれは…姫だったか？)
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kohaku(プロフ) - 名無しさん» コメント有難うございます。お褒め頂けて光栄です！ (2022年5月28日 15時) (
レス) id: 010498cf3b (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 情景描写がとても素敵で感動しました！ (2022年5月28日 13時) (レス) id: 645a3b4e65 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト受けて頂きありがとうございます！！ (2021年5月16日 9時) (レス) id: 16ac793f5a (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 美園さん» リクエスト有難うございます！確認事項がありますので、ボードにお邪魔いたします (2021年5月15日 20時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト？でシノンちゃんがハノンに紙芝居を見せた後、陸翔くんがどうなったか知りたいです！いいですかね？ (2021年5月15日 20時) (レス) id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
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