第８夜：モフモフの極み �� ページ25
エルフの里―――
「これは…… 一体」
朝一番に「里長への献上品です」と差し出された幾つもの籠には、いっぱいの珍しい薬草や貴重なハーブが詰め込まれていた。
その量に、目を瞬かせて驚くハノン。
「お待ちください―――困ります……」
途端、広間の入り口の辺りで侍女達が慌てだす。
「ハノン様への面会は、事前にアポイントメントを取っていただかないと……」
「アポイント？別に公式の会合に来たいわけじゃない、プライベートでハノンに会いに来ただけだ」
一人の男が、侍女達の制止も聞かずにずかずかと広間に入ってきた。
声の主を見たハノンは、思わず苦笑いを見せる。
「大丈夫です―――その方は、私の友人ですから…通して上げてください」
ハノンの言葉に、侍女達は戸惑いながらも道を開ける。
「一言、ご連絡を頂ければ、お迎えさせて頂きましたのに―――狼男の里長…陸翔」
不躾に広間の奥へと入ってきた男、陸翔はにんまりと口元を綻ばせた。
「迎えなんて要らない、俺はハノンに会いに来ただけだ」
相変わらずの強引な態度に、ハノンだけでなく周囲にいたエルフの次女も苦笑いを隠せない。小さなため息の後、ハノンは陸翔を散歩へと連れ出した。
・
・
新緑が美しい浅林の小道を、ハノンの歩幅に合わせて歩く。
「風が―――気持ちいいわね…陸」
「あーそうだな」
「あのハーブは…どうしたの？」
エルフの民も薬草やハーブに詳しい者が多いが、そんな彼らでも見つけるのが困難である珍しいハーブが多く詰め込まれていた。
幼いころから野山を駆けずり回っている陸翔は、確かにサバイバル知識に長けている。
だが到底、植物学に詳しいわけではなく、これらを一人で用意したとも思えない。
「抗炎症作用や鎮静作用のあるハーブと、自律神経を整える作用のある薬草なんかを伝手を使って用意させた。
そろそろエオのストレスがたまる頃だと思ってな」
籠の中身を隅々まで見たわけではないが、確かにその手の効力のあるハーブが多かったようにも思う。
「有難う……」
幼馴染の陸翔は、ハノンに発作があることを知っている。
だからこそ、時折こうして気にかけてくれるのだが―――
(陸はする事がいつも、強引だから……)
言葉遣いは乱暴だが、悪気がない事は理解しており、信頼もしている。
「里のみんなで、頂くわ！」
「ああ！」
陸翔はニコリと笑顔を向けた。
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kohaku(プロフ) - 名無しさん» コメント有難うございます。お褒め頂けて光栄です！ (2022年5月28日 15時) (
レス) id: 010498cf3b (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 情景描写がとても素敵で感動しました！ (2022年5月28日 13時) (レス) id: 645a3b4e65 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト受けて頂きありがとうございます！！ (2021年5月16日 9時) (レス) id: 16ac793f5a (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 美園さん» リクエスト有難うございます！確認事項がありますので、ボードにお邪魔いたします (2021年5月15日 20時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト？でシノンちゃんがハノンに紙芝居を見せた後、陸翔くんがどうなったか知りたいです！いいですかね？ (2021年5月15日 20時) (レス) id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
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