第６夜：黄色の朝顔 �� ページ17
涼しい風が、夜空を駆ける。
黒と青を塗りつぶしたような空に、ぼんやりと大きな黄色い月が浮かんでいた。
“ミスト”と約束した通り、あの日以来シノンは森に行かなくなった。
黄色い朝顔を探す片手間にと集めたハーブは、母と共に煎じて薬とし、ハーブティとして午後のティタイムを楽しむのに使った。
爽やかな香りとほろ苦いローズマリーティを口にするたび思い出すのは、不思議な雰囲気を持つエルフの女性、ミストの事。
(あんな風に言っていたけれど、大丈夫かな―――あの人)
黄色の朝顔は、シノンが何度も森に足を踏み入れ、懸命に探しても見つからなかった花。探すことに夢中になり、夜になってしまうこともしばしばあった程だ。
―――黄色い朝顔なんて、あるはずない。
“嘘つき”と言われるたび、父との思い出までもが否定されたようで、半ば自棄になっていたのも事実だった。
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満月の夜―――
シノンは半信半疑で里の広場に出かけた。
(会ったら―――謝ろう。これ以上私を一人で危険な森に行かさない為に…
私に変わって探すと言ってくれたんだ。
これ以上あの人を 危険に巻き込むわけにはいかない。)
そう―――里の外の森が危険なことは、シノンにもわかっていた。
「朝顔が咲くのは日没から10時間後……“夢幻花”はまだ寝ているようね」
明るい月が、青い影を伸ばす。彼女の深紫の長髪は、
白い月光に照らされて幻想的に見える。
「ミストさん……」
「こんばんは、シノン」
女エルフのミストに扮した隼を見つけると、シノンは駆け寄った。
「ごめんなさい、ミストさん―――危険な事、貴女に押し付けて…私ッッ！！もういいです、もう―――」
「危険な事？なんだ…一人で森に行くことが危険だと、きちんと分かっているんじゃない。
だったら二度と、母上様や里の皆に心配かけるようなことをしてはいけないよ？」
そう言うと、手に持ってた鉢植えをシノンに差し出した。
白い月あかりに浮かぶ、淡い黄色の朝顔―――。
「ミストさん…これッ」
「約束した、“黄色い朝顔”だよ」
「そんな―――本当に、見つけてくれたの…？」
渡されたのは、支柱に支えられて蔓と葉を伸ばす朝顔の鉢植え。
大きな葉の合間に、淡い黄色い朝顔の蕾が咲いていた。
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kohaku(プロフ) - 名無しさん» コメント有難うございます。お褒め頂けて光栄です！ (2022年5月28日 15時) (
レス) id: 010498cf3b (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 情景描写がとても素敵で感動しました！ (2022年5月28日 13時) (レス) id: 645a3b4e65 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト受けて頂きありがとうございます！！ (2021年5月16日 9時) (レス) id: 16ac793f5a (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 美園さん» リクエスト有難うございます！確認事項がありますので、ボードにお邪魔いたします (2021年5月15日 20時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト？でシノンちゃんがハノンに紙芝居を見せた後、陸翔くんがどうなったか知りたいです！いいですかね？ (2021年5月15日 20時) (レス) id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
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