第４夜：名前 �� ページ12
森を抜けるために先を急ぐ隼の歩幅に合わせ、
少し大股でついて歩くアリアが、ふいに尋ねた。
即答で返す隼に、アリアは頬を膨らませる。
「絶対そうだ！髪色が違う女の人だったけど、隼と同じ綺麗な青紫の瞳をしていたし…」
「別人」
「後から聞いたら、mist(ミスト)って名乗っていたらしいから、絶対隼だと思ったんだ！」
「―――……」
(そんなバレやすいか？俺)
これでも女装を含めた変装と、種族を虚言して里に溶け込むスパイ活動には自信があったのに。
「大丈夫だよ、誰にもバレてない！！僕も、誰にも言うつもりはないし」
確かに、精霊だと種族の虚言を行い、精霊の里で諜報活動を行う事も多いし、
その際使っている女性の姿では”ミスト”と名乗っていたが、
証拠を残すようなヘマをやらかした覚えはない。
だが、隣を歩くアリアはミストが隼の変装後の姿だと信じて疑わない。
(アリアに、変装後の姿を見せたことはなかったんだけど……)
「どうしてソレが、俺だと思ったの？」
やっと口を開く隼に、アリアはにんまりと微笑んだ。
「どんな姿をしていても、僕は好きな人(隼)の事なら見つけられるよ」
「―――……何それ、理由になってない」
下を向く隼の態度は、アリアにYESを告げているようなもの。
「精霊の里での仕事なら、僕も手伝うよ？何でも言って？」
「有難う……」
隼は諦めて、ため息を零した。
そんな不確かな理由で変装の確信を持たれるなんて。
(次からは、もっと慎重に行動しよう……)
そう決心したのだった。
・
・
・
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kohaku(プロフ) - 名無しさん» コメント有難うございます。お褒め頂けて光栄です！ (2022年5月28日 15時) (
レス) id: 010498cf3b (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 情景描写がとても素敵で感動しました！ (2022年5月28日 13時) (レス) id: 645a3b4e65 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト受けて頂きありがとうございます！！ (2021年5月16日 9時) (レス) id: 16ac793f5a (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 美園さん» リクエスト有難うございます！確認事項がありますので、ボードにお邪魔いたします (2021年5月15日 20時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト？でシノンちゃんがハノンに紙芝居を見せた後、陸翔くんがどうなったか知りたいです！いいですかね？ (2021年5月15日 20時) (レス) id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
