第１夜：偽りの姿 �� ページ1
暁闇に鳥の大群が舞い降りた。
長距離移動を終えた羽を休めるかの如く、静かに身を寄せ合っている。
それらを確認し終えたか、遅れてゆっくりと下降した一羽の鷹は、
真っすぐ掲げられたファルコンリーグローブに降り立った。
『ピー……』
その見た目にそぐわぬ高音一声を残すと、
鷹はグローブを引き寄せた主に甘えるように首を揺らす。
「お疲れ、ハク。今宵の任務は終了だ。皆と共にゆっくり休んでくれ」
『ピー……』
いつもなら、仲間を引き連れて寝床にしている森へと帰っていくところだが、
ハクと呼ばれた鷹は動く気配を見せない。
「―――……どうした、ハク？」
『すまない、主。撒き切れなかったようです…』
申し訳なさそうに、白鷹のハクはため息を零す。
彼の視線の先を睨みつけるハクの主…隼は青紫の瞳を森の方へと向けた。
街灯など存在しない、深い森の中。
暁闇で目視できる範囲などたかが知れているだろう―――普通なら。
「仕方ないよハク、相手が悪かったようだ…」
そう言うと、隼は腕を上げてハクを空へと逃がした。
腰に据えた長刀に手をかけ、ゆっくりと膝を落とす。
「この人は別格。離れていても変装していても…匂いで追って来るから」
ゆらりと、空気が揺れた。
途端、周囲の木の葉が舞い上がる。
「？！！」
咄嗟に腰に据えた刀を抜刀し、気配を頼りに攻撃を受け止めた。
「へぇ。この一撃を受け止めたか―――それでこそ、オレの弟子だ」
「弟子に蔭打ちする師匠など―――ありますか」
一撃を交わすと即座に声の主から離れ、軽い身のこなしで木の上へと距離をとる。
音もなく太枝に降り立つ隼の足に遅れて、
ふわりと深紫の長髪と首に巻いていた長布が舞った。
「オレの前にはいつも狼男の姿で現れるから―――一
度はオマエの本当の姿を見ておきたいと思っていんだ。
ああ……なんだ、ハヤトはまだ幼い少年鬼だったか」
大地を割らんばかりの一太刀を放った刀を背に静め、
男はにんまりと口元をほころばせた。
「―――……」
挑発したつもりだったが、そんな小細工に乗ることもなく、
隼は太枝から無言で彼を見下す。
「それで……オレを追ってきたんですか？狼男の里長……
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kohaku(プロフ) - 名無しさん» コメント有難うございます。お褒め頂けて光栄です！ (2022年5月28日 15時) (
レス) id: 010498cf3b (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 情景描写がとても素敵で感動しました！ (2022年5月28日 13時) (レス) id: 645a3b4e65 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト受けて頂きありがとうございます！！ (2021年5月16日 9時) (レス) id: 16ac793f5a (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - 美園さん» リクエスト有難うございます！確認事項がありますので、ボードにお邪魔いたします (2021年5月15日 20時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - リクエスト？でシノンちゃんがハノンに紙芝居を見せた後、陸翔くんがどうなったか知りたいです！いいですかね？ (2021年5月15日 20時) (レス) id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
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